まず初めに、先月緊急告知しましたが、10月16日(木)までエレベーターの交換工事のため、階段しか使えなくなります。ぎっくり腰や、膝痛、股関節痛、坐骨神経痛などの腰下肢の疼痛障害には、来院が厳しく誠に申し訳なく思います。そうでなくても4階までの昇り降りは大変です。皆様には大変ご迷惑おかけします。幸いなのは、いつまで続くかと思われた、猛暑日がお彼岸を境にかなり涼しくなったことです。「頑張って階段使って伺うわ」と言ってくださった患者様には、暑い中を階段上って4階まで、というのは回避されそうで、ホッとしています。それでも大変ですが、よろしくお願い申し上げます。
今年の夏は、本当に9月の半ばまで猛暑日が続くという、鍼師も夏バテを感じる猛烈な暑さでしたが、常時エアコン運転による悪影響もあり、エアコンの冷えによるぎっくり腰や寝違い、おそらく換気不足が影響していると考えられる新型コロナなどのウィルス性感冒の流行が目立ちました。その後反転して涼しくなりましたが、体感の心地よさとは裏腹に猛暑の疲れがドッと出て、昼間妙に眠いなどバテ症状や自律神経の失調が多く見られました。これは夏の陽気の消耗を引きずっているためですが、鳩尾から臍の周囲と背中の胃の裏あたりをじっくり暖めると陽気がより早く回復しシャキンとしてきます。
これからは気温がさらに下がり、急速に空気が乾燥して本格的に秋の気配を感じるはずですが、東洋医学的な考え方では、秋は肺系(呼吸器・皮膚・粘膜)が影響を受ける季節です。これからは、肺を強化する「中府」「肺ゆ」、免疫強化の「大椎」、喉の強化や熱取りに使う「母指・人差し指の爪の生え際」といったツボを刺激しましょう。風邪に対しては、発熱の初期には上半身の発汗を促し、解熱薬は熱のピーク(発症から1日程度)まで我慢して服用、というのが理想です。漢方薬は、悪寒など風邪初期は「葛根湯」、発熱時は「麻黄湯」、咽喉痛には「小柴胡湯加桔梗石膏」、運悪く長引くと「桂枝湯」と場面により上手く使い分けましょう。
さて、少し涼しくなったと思ったら、いつのまにか日はだいぶ短くなってきていて、秋らしく物悲しい季節になってきています。昔から、人の霊魂を魂魄(こんぱく)と言いますが、魂と魄はそれぞれ正反対のベクトルを持つ精神エネルギーで、魂は能動的な精神エネルギーとして肝臓に宿り、魄は受動的な精神エネルギーとして肺臓に宿るとされています。このため、秋は肺が影響を受け、受動的な精神活動である感受性が高まり、ナイーブになります。これが東洋医学の言うところの「心身相関」です。具体的には、感受性がいい作品に繋がると「芸術の秋」になりますし、味覚に対する感受性が高まると「食欲の秋」になります。また、人間関係では「恋愛の秋」や「失恋の秋」も盛んになります。東洋医学的には「憂い・悲しみ」が過ぎると、さらに肺を傷つけるとも警鐘を鳴らしており、この時期は、何か辛いこと、落ち込むことがあっても、「秋が私をそうさせるのね」と責任転嫁したり、割り切って感情を爆発させ、涙をたくさん流すと、精神的に癒されてスッキリします。実は涙には、ストレスを受けたときに脳内に大量に作られるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を排出する作用があるためなのです。ACTHは内臓や筋肉を緊張させるので、健康のためにも悲しいときは我慢せずにしっかり泣くことをお勧めします。
また、「そうは言ってもなかなか・・・泣けません」という人は、ため込んだストレスで脳がマイナス状態になることがあります。脳がマイナス状態だと、様々な苦痛をさらに増幅することがあり、この増幅した苦痛が「本来の苦痛だ」と脳の勘違いを引き起こすと、苦痛の慢性化につながり苦労します。鍼灸では、頭の百会の上下左右にある「四神総」というツボに鍼をして気を落ち着けたり、仰向けで首を緩めながら耳後下の乳様突起近くの「安眠」というツボを刺激してリラックスさせ、脳のリセットを促したりします。漢方薬だと「半夏厚朴湯」が有効に作用し、気が楽になることがありますよ。

