●はじめに
8月、ひょんなことから飼うことになったヤモたん(なんの捻りもないヤモリの呼び名)。その生き餌として、買って来たコオロギが、9月に大量脱走し、家の中のあちこちにコオロギが跳ね回るカオス状況に。騒ぐ家族に尻を叩かれ、ほとんど捕獲して収束しましたが…。10月の或る夜突然、タンスとテレビ台の裏から虫の音が〜。「逃げ残り、タンスの裏で、秋叫ぶ(byコオロギ)」。我が家の秋は、コオロギが届けてくれました(いらん!)。
その10月ですが、秋晴れ少なく、日照時間も短く鬱々として、精神的にもドヨーンと落ち込むことの多い天気で、寒暖差が激しく、風邪引きとギックリ(腰や背中)が多く見られました。
●風邪の脈
11月は、東洋医学では「陽消陰長」といって温かい日と涼しい日を繰り返しながら、だんだんと「陰」が強くなり、寒くなるとともに、気温の日格差も大きくなります。当然、肺の負担は増加していき、体温調節も難しいので、やはりしばらくは風邪に注意です。
風邪と言えば、以前、脈診の師匠が、『風邪の脈を確認して、風邪だねと言って治療するでしょ。治療が巧くいって風邪症状が出ないと、次のときに「先生、風邪じゃありませんでしたよ。」って文句言われるんだよね。逆に風邪の勢いに治療が追っ付かなくて症状が出ちゃうと、患者さんは「先生流石です。やっぱり風邪でした!」って嬉々として報告してくれるんだよ。全く理不尽だよね。』と言っていたのを思い出しました。肩や首の凝りが辛くて、と来院される患者さんの脈をとって、右の脈より左の脈が強く、浮いているのを確認すると、表寒もしくは風熱という脈で、症状がなければ、風邪の入りかけだなと思うわけで、特に11月7日(木)の立冬を過ぎてからの風邪はこじれ易く、喉の痛みや咳がぐずぐず長続きしたり、高熱が出て、気管支炎、肺炎など重い症状で苦しむこともあるので、ちょっと脅かし気味に忠告するかもしれませんけど、忠告通り悪化しなければて治療が上手くいったと納得してもらって文句は言わないでくださいね(笑)。
●今の流行風邪と対策
ちなみに、現在東京では、上気道感染症として、新型コロナ以外にマイコプラズマ感染症が流行っているようですが、そのうち5%くらいがマイコプラズマ肺炎になります。細菌性で、間質性肺炎ですが、長期化して繊維化することはなく、肺炎にしては割と元気で一般状態も悪くないことが特徴です。体力があれば高熱状態は自己免疫には有利で、熱で体内に大量に発生する活性酸素はウィルスを破壊してくれるので、安易に解熱薬で熱を下げない方がいいです。ただし、身体自体も傷つけてしまうので、この場合はビタミンCを大量(1日3グラム程度)に摂るようにしましょう。
●免疫力とビタミンD
くしゃみ・鼻水・喉のイガイガなど通常の感冒症状は夏より増えている感じで、このところ気温低下、空気の乾燥、日照時間の減少と、免疫力が低下し感染しやすくなる環境にしっかり移行しつつあります。
このうち日照時間の減少と免疫力低下についてですが、これにはビタミンDが関係しています。皮膚にあるビタミンD3前駆物質に紫外線が当たることで、活性型ビタミンDに変わり血中濃度が上がるのですが、よく知られる骨を丈夫にする働きだけでなく、体内に侵入したウイルスや細菌などに対して、過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進しながら、感染症の発症・悪化の予防にも関与します。仕事柄、引き籠りがちの鍼師もコロナ禍での摂取した時の経過が良いように感じたため、冬期はちょくちょく飲んでます。
●喉・気管支の対策
今夏、装着率の下がったマスクは、冬場は乾燥して冷たい空気を直接吸わず、喉や気管の温度や潤いを保つため有難さが増します。喉や気管支が弱いは、マスクを湿らせて活用したり、体質改善として、呼吸器に潤いを持たせる柴朴湯(さいぼくとう)はお薦めです。運悪く風邪を引いてしまい、喉の痛みや腫れに咳・痰を伴う場合は、漢方薬では銀翹散(ぎんぎょうさん)、食べ物では梨やユリ根、銀杏も鎮咳作用があり、大根おろしも効果的です。予防的にツボ刺激として、手の人差し指の付け根にある「二間」の温熱刺激が喉の熱や鼻粘膜の炎症に有効で、鎖骨の外下方にある「中府」「雲門」のマッサージも気管支炎・肺炎を防ぎます。
●早めの腰対策
急な冷え込みで現時点でも多い腰痛ですが、腰が最も影響を受ける本格的な冬に向け、腰痛や腰重を拗らせないために、今の時期からツボ対策として、「風市」(大腿部の外側面で、まっすぐに立って手の中指先端が当たるところ)というツボを、衣服の上からでも揉みほぐすようにしましょう。
●はじめに
9月は第2週の2日ほど涼しかった後の猛暑再来が、バテバテ感を余計強くしたような感じがしましたが、お彼岸過ぎて一転し、肌寒い日もあり、日もかなり短くなってきて、秋の到来を感じます。10月もまだ真夏日はあるようですが、さすがに猛暑日はなさそうです。先月も触れましたが、秋は肺系(呼吸器系統)が影響を受ける季節で、これからは、肺を強化する「中府」「肺ゆ」、免疫強化の「大椎」といったツボを刺激したり、初期の風邪のうちから発汗を促して解熱につなげる「葛根湯」や「麻黄湯」をうまく活用する時期です。もし備えとして入手されて、使い方に迷ったら鍼師にご相談ください。
●ワクチンについて
10月から、予防接種法に基づく定期接種(65 歳以上の方対象)が始まります。うちの嫁にも接種案内が来ました。インフルエンザだけでなく、新型コロナも定期接種になるようですが、先日定期接種に使われる5種のワクチンの一つであるレプリコン(自己増殖型)ワクチンという次世代mRNAワクチンを製造販売するメーカーの社員グループから「私たちは売りたくない」という暴露本というか警告本が出版されました。現在amazonでもプレミアが付いて入手困難になっていてますが、鍼師はkindleで読みました。最近のコロナ感染症の重症化リスクが下がっていることと、従来のmRNAワクチンも含めたワクチンの副反応リスクを天秤にかけて、慌ててワクチン接種せず、よーく見極めてからの方がいいなと考えています。鍼師も嫁も打ちませんが、患者さんにもお勧めしませんね。
●映画と感動と秋の心理
先日、待望のエイリアンシリーズ最新作が公開されたので、観に行ってきました。嫁さんが、興味なさそうに、仕方なさそうに付き合ってくれまして、鍼師的には満足の出来でしたが、嫁さん的には「…なんの感動もなかった」って…。「嫁ちゃん、エイリアンは、ハラハラドキドキを楽しむ作品だからね。エイリアンと人間の間に友情とか愛情とか芽生えて感動するとかないから〜」と心の中で叫びました。感動する映画が良いのはこれからの秋の季節です。昔から、人の霊魂を魂魄(こんぱく)と言いますが、魂と魄はそれぞれ異なる感情をもたらす精神エネルギーで、魂は能動的な精神エネルギーで肝臓に宿り、魄は受動的な精神エネルギーで肺臓に宿るとされています。このため、秋は肺が影響を受け、受動的な精神活動である感受性が高まり、ナイーブになります。感受性がいい作品に繋がると「芸術の秋」になり、味覚が高まると「食欲の秋」になります。また、人間関係では「恋愛や失恋の秋」も盛り上がって、楽しいことはより楽しく、哀しいことはより哀しく感じられます。この時期は、何か辛いこと、落ち込むことがあっても、「秋が私をそうさせるのね」と責任転嫁したり、感動する映画で涙をたくさん流してスッキリするのが、精神衛生上も肺機能的にも有効です。ということで、オススメ映画があったら是非教えてくださいね。
●お値打ち野菜ランチ
以前から教えてもらっていたお店で、先日やっとランチを頂くことが出来ました。というのもこの店、月に3日しか営業してないので、なかなか時間が合わず…(泣)。野菜好きの嫁さんには絶賛のお値打ちランチでしたので、皆さんにもご紹介。
第2〜4水曜日の11時半から15時まで営業。予約がオススメです。
パリオリンピックでは日本人のメダルラッシュで獲得数世界3位となり、江戸川区の星・関東一高校が甲子園決勝で惜しくも破れるも熱戦を繰り広げ、残すはパラピンピックと、熱い夏が終わろうとしてます。熱い夏と共に暑い夏も終わればいいのに、先日ニュースで暑さは「10月まで」ではなく「10月も」と言っていて、マジか、と愕然としております。
7月後半から8月前半の暑さでピークは過ぎたかと思ったら、中盤以降にも2度目のピークが来たような感じで、その後も長引きそうな暑さは、じわりじわりと心身を消耗して夏バテに至りそうです。ゴールデンウィーク以上に長期の盆休みとなった方には、職場に戻っても、やる気が出ず、睡眠は浅く、食欲も減退、という人も居られたのではないでしょうか?
夏の高温下では、体温維持のために必要なエネルギーが少なくなり、基礎代謝が下がります。エネルギーが少なくて済むので、食欲が落ちて食べる量が減りますが、エネルギー量は問題ないものの、ビタミンやミネラルといった栄養素の必要量はそんなに変わらないため、栄養不足になります。さらに素麺などのあっさり食事を続けると、その傾向はさらに強まります。また、大量にかく汗の成分には、ビタミンB1やカルシウム、マグネシウムも含まれ、失われた栄養素を摂取していかなければなりません。土用の丑の日に鰻を食べる習慣は江戸時代に始まったものですが、ビタミンやミネラルを豊富に含む鰻は夏バテの食材として理に適っています。その他、アッサリとしながらも栄養補給になる「冷しゃぶ」などポン酢で食べるのもオススメです。肉に含まれるアルギニンは成長ホルモンの分泌を促進することで、体のダメージを回復する効果を高め、「活力」に関わる滋養強壮成分です。お酢の酸味が唾液や胃酸の消化酵素分泌を促し、含まれるクエン酸には乳酸を分解して疲労回復を高めたり、最近は肝臓の機能を高めて脂肪肝や肝癌発生を抑制する効果が盛んに研究されているようです。
食材と共に消化能力を維持するための胃の養生も大事です。まずは、しっかり空腹時間を作る事が大事で、特に夜寝る前の食事は控えることで胃は余裕を保てます。特に夕食と朝食の間を8時間以上空けると腸の大蠕動を促し、胃の機能不全を防げます。それでも暑さの影響で胃の運動不全になった場合、これに対するツボ療法としては、ファーストチョイスで「足三里」。胃酸過多気味の場合は「足三里」に代わって「陽陵泉(膝外側の大きな骨の下)」を、消化不良で下痢気味の場合には「百会」が有効です。漢方薬としては「六君子湯」。主成分の一つビタミンPが、「グレリン」というホルモンの分泌を促進し、食欲増進・運動能力アップにつながります。ストレスが胃痛にきやすい人は、胃が知覚過敏になっています。これには少量(胸やけしない程度)の唐辛子(カプサイシン)を長期服用するのが有効です。胃痛がなくなるだけでなく、過敏性大腸炎にも効きます。
今年は8月から台風が日本列島に上陸していますが、本来は9月が最も多く台風が上陸する季節です。台風による急激な気圧の低下では、喘息患者が急増しますし、うちの患者さんでも、赤道直下で台風が発生したと同時に息苦しさが出るという、ご本人的には大変有難くない、台風発生検知器のような能力?を持った方がおられます。台風と共に体調不良になる方は、呼吸器が弱い体質(もしくは状態)であると自覚して、関連が深い秋を見据えて準備しましょう。
本格的に秋の気配を感じ始めると、空気が急速に乾燥してきて、夏の多湿からすると体感的には心地よくなるものの、防衛を司る呼吸器系統(呼吸器・皮膚・粘膜)に直接影響が出て、鼻汁・鼻閉・喉の痛みを中心とする風邪も増え、また肌も乾燥して荒れ易くなり、腸の粘膜が乾燥して便秘になることもあります。首から肩甲骨内縁という肺に関係の深い領域にお灸の温熱刺激や乾布摩擦など、皮膚の刺激を通じて免疫力の強化を図り、肺系強化のツボ刺激として、中府(ちゅうふ:鎖骨外端の下・陥凹部の下3センチ位)や母指や人差し指の刺激を試みてください。
先日帰省した京都でジャガイモを沢山もらってきたら、どこかにヤモリが潜んでいたようで、妻と次男はキャーキャーと大騒ぎ。鍼師はヤモリは比較的好きなので、手づかみしたら、何を思ったか次男が飼うと言い出し飼うことに。島忠ホームズで買ってきたコオロギの生き餌を脅威の捕食でパクツク様を皆でジーと眺め、しばしの空腹でこやつの胃の養生は万全のはずやなぁと思う鍼師でした。
7月は、前半に気温が35℃に達し、やはり昨年より暑いなと。中旬梅雨らしい天候不良で気温が少し落ち着いたものの、後半は一気に暑くなり葛西近辺では初の38℃を記録しました(死ぬ)。26日からパリ・オリンピックも始まりましたが、地球の裏側でリアルでは深夜放送。8年前のリオ・オリンピックは睡眠削って応援しましたが、今大会は体力気力の限界を感じ、朝結果を確認する毎日です(無理)。
先日、往診先で急に足がむくんだ方がおられて、夏場には、特に高齢の方で、数時間から数日という短期間に急速に足がパンパンに浮腫むケースがあります。これは急性腎不全で、腎臓への血流が減少し老廃物がろ過されずに体に蓄積して腎炎を起こし、糸球体自体が傷付くことで腎臓の機能が低下し引き起こされます。腎臓への血流低下の一番の原因は脱水。だから夏場多いのです。血圧がそんなに高くないのに降圧剤を飲んでて低血圧になったり、頭痛等でロキソニンなどの非ステロイド系の消炎鎮痛剤を多用している人はさらにリスクば上がるので要注意です。とにかくマメな水分補給を心がけましょう。ちなみに、大量の汗に塩分などの電解質補給を怠ると、血中の塩分濃度を下げない反応として体が水分を拒否することがあります。自発的脱水といいますが、これも気をつけましょう。
腎臓に関しては、最近、フィットネスクラブでプロテインを摂取していて腎機能を損なうケースが報告されています(うちの患者さんにも一人)。腎不全の人が塩分とたんぱく質の摂取を制限することは常識となっていますが、逆に高齢者は低糖質・高タンパクが不老長生に良いという研究もあり、はてさて?現在のところ、吸収率の良すぎるプロテインが腎臓のろ過機能を超えて一気に腎臓に到達するから害なのでは?などと推測されていますので、たんぱく質は肉・魚・卵・大豆といった食品で摂るのが無難なようですね。
さて、今年もすでにエアコンなしで室内熱中症死亡のニュースが入ってきてますが、体力がなく、暑さに鈍感な高齢者はエアコンを活用すべきでしょう(嫌いな方も多々おられるとは思いますが)。特に熱帯夜が続く暑い季節は、脳をクールダウンしてから眠るのがおすすめです。やり方としては、部屋を涼しくして鼻で腹式呼吸です。脳の自律神経の中枢はちょうど鼻腔の上にあるため、鼻呼吸によって自律神経中枢が冷やされることで自律神経機能が回復し、また、吸う息の倍時間をかけて息を吐くようにすると副交感神経優位になり睡眠の質の向上につながります。
ただ、エアコンの影響を受けすぎるのも問題です。夏はもともと体内熱を放出出来るように皮膚の毛穴が開きがちで、寒さに対しては無防備で、冷房によりストーンと深部に冷えが進行してしまいます。
冷えが進行するとどうなるのか?まず、末梢循環の血行不良(東洋医学では「血虚」や「瘀血」)を引き起こし様々な神経・関節などの痛みの元になります。また余分な水分の停滞(東洋医学では「水毒」と呼びます)を引き起こし、頭痛・肩こり・腰痛・生理痛等が慢性化します。冷えが胃腸機能に及ぶと消化不良・慢性的な下痢・意欲の低下もおこります。冷えがちで低体温化した身体が常態化すると免疫機能低下からガンにもなりやすくなります。さらに、深く進行した冷え性には、身体を温める陽気と身体を沈静化する陰気の分離を引き起こし、(冷え)のぼせ・ほてりといった症状を呈するものもあります。赤ら顔でいつも顔に汗をかいてハンカチ・タオルが手放せない人、この状態が長期化すると、クモ膜下出血、脳溢血、心筋梗塞などに襲われます。まさに冷えは万病の元ですね。人間は頭が熱いと全身が熱いと錯覚してしまう生き物ですが、お腹や足の温度を手で確認すると、結構冷えていることがあります。きちんと確認して冷え過ぎによる内臓や自律神経の機能低下を防ぎましょう。
どうしても職場環境等で冷える場所から逃れられない人は、「夏から始める冷え性対策」です。日常生活では、第一に下半身浴+「三陰交」のツボ刺激を1分間。第二に「水毒」に対する食養生。ニガウリ・セロリ・ピーマン・グレープフルーツなど苦みのある食材で、身体の余分な水分を取り去るです。さらに積極的な対策としては、末梢循環を鍛えておく方法です。①冷たい水と熱いお湯を1分毎に交互に7回繰り返す「冷温浴」と②仰向けに寝て手足を垂直に上に挙げて2分間ブラブラさせる毛管運動(ゴキブリ運動)は効果的です。3ヶ月頑張ると体質が変わります。
冷温浴ではないですが、先日、京都の義父の付き添いで、京都下鴨神社の御手洗祭(みたらしまつり)という、御手洗池に素足を浸け、献灯して無病息災を祈る、という行事に参加してきました。京都のまとわりつくような熱い空気と池に浸かる人の多さから、さぞ温いんだろうと足をつけると、「つっ、冷た〜」と予想に反して冷たく頭も冴えました。行事を終え足を拭いてしばらくジーンと血が巡って心地よい。なかなかの体験でした。お義父さん(92歳)もまた一年無病息災だと思ってると、妻(長女)と義妹(次女)が「元気で死ぬときはポックリやで」「そうやポックリポックリ」と笑いながら死を強調する。それにつられて義父も笑う。「お義父さん、そこ一緒に笑うとこなんですか?」と微妙に思う鍼師でした。
6月はお隣の浦安で8年ぶりの浦安三社祭が行われて、鍼師は見に行けずシクシクでしたが大盛況だったようです。「マエダ、マエダ」と前に進まぬ神輿を担いで、漁師町の祭り命の方々は燃え尽きてるんだろうなと思っていたら、その後コロナも大流行したそうで、燃え尽きにコロナはキツイぞ、と心配しております。
さて、例年、春の陽気の影響による自律神経失調を5月の穏やかな気候で調整するところが、今年は4月後半から雨天も多く、自律神経失調を引きずったり、梅雨時期の神経痛・関節痛が前倒ししていたりと、6月も体調不良の方が多くおられました。実際の梅雨入りは、関東甲信越で6月21日と記録的に遅くなりましたが、どうも7月は梅雨らしい天気が続くこともなく、湿度だけは上昇して不快指数はマックスになり、早々に梅雨明けして夏に突入しそうです。やれやれ。
夏と言えば、「熱中症」と「冷房病」ですが、先日は、東京消防庁管内で33人も熱中症で救急搬送されたようで、今月は熱中症について。
急激に気温が上昇すると発生する熱中症。人間の自律神経は暑さに対しては対応力がかなり劣り、対応出来る温度差も8℃までで、それ以上になると四肢の脱力・めまいといった軽度熱中症の原因になります。さらに狂った自律神経のため体温調節が出来ないと急激に体温上昇を起こし、めまい・四肢の痙攣・吐き気といった中度熱中症になり、最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になります。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンクを少しずつ摂取することです。それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)にし、直ちに救急車です。
予防としては、
- 汗腺を鍛えて夏モードにする。(10日間毎日、大量の汗をかくことで、体温が上昇すると同時に、全身からダッと汗をかき、熱放散してスッと汗が引くエクリン腺中心の発汗の獲得が出来ます。)
- 適切に水分補給をし、脱水に気をつける。(一度の水分補給は口に含む程度にし、20~30分毎にこまめに摂取するのが理想です。高齢になると、喉が渇くという感覚が鈍くなってきますので、特に注意です。)
- 睡眠不足は、発症リスクを上げるので寝不足注意です。
また、先月も触れましたが、体内の水分調節機能を整える「五苓散」という漢方薬は、熱中症の治療・予防、さらに温泉の湯当り等にも使えて便利です。
7月は、後半からオリンピック・パリ2024が開催と楽しみなイベントもありますが、前半は東京都知事選挙。立候補者56人というお祭り状況に、昨今のモラル低下を感じたり、56人もいるのに「この人に託したい」という人がいなくて、なんだかなぁ〜と嘆息する鍼師でした。
最近、鍼灸やツボ関係の特集番組がいくつか放映されました(教えてくださった患者さんありがとう)。施術を受けた患者さんが体験的に効果を実感するのとは違って、数値や画像なので効果を客観的に説明できるのは良いことです。鍼師が一番やりにくい猜疑心の強い患者は「妻」ですが、録った動画をさりげなく流して理解を促す日々が続いております(笑)。
さて、自律神経が乱れる春の時期から、本来調整期間となるはずの5月の良い季節がちょっと微妙で、様々な不定愁訴が尾を引いたり、梅雨の前倒し的に神経痛を発症する方とかが多く見られた一月でした。
6月は梅雨入りですが、多湿のため、身体に水分が停滞し、熱が放散しにくく、「ジッとしていると寒いのに、動くと暑く」感じます。これに、梅雨寒や気圧の低下が加わると、関節痛や神経痛・古傷痛が目立つようになります。これは急激な気圧の低下で体液成分が変化することと、冷えにより体表の血管壁が収縮し、痛みの受容器を刺激することによって引き起こされる痛みで「気痛」と呼ばれます。応急的には温めることが一番です。
また、湿気は消化系統である「脾」に影響すると先月も書きましたが、吸収力も蠕動運動も低下し、お腹が張ってもたれ気味。尿も大便もすっきり出なくて急に下痢・腹痛を起こすこともあります。また、東洋医学の心身相関では、脾が弱ると心の変動は「思」に繋がります。「ハッと気づくと同じことばかり考えている」と、思考のループにはまり、思い悩んでどんどんネガティブになっていくという鬱まっしぐらです。東洋医学の原典「素問」には「思」の感情は「怒」で抑制できると記されていますが、伴侶が鬱っぽい時はわざと怒らせてみる?のも良いのかもしれません。鍼師の妻は気付いたら「怒」ってる気がしますが…。(鍼師が悪い?)
ともかく、消化器系統「脾」の強化には、ツボ療法としては、先月書いた「足三里」「中月完」「少海」の刺激を継続し、漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除く作用があり、熱中症で多用する五苓散(ごれいさん)も水分代謝改善で効果的なので、持っておきましょう。その他、汗をかく機会を増やし、夏バテしない質の良い汗をかけるように準備もしておきたいですね。
食養生としては、利尿作用を高め水分代謝を改善するハトムギ、小豆、緑豆。脾胃を温めて、発汗を促すショウガ、ネギ、花椒が有効です。また、食べ方として、普段は胃に優しい暖かくて消化の良い食事を心がけて胃を休め、、何日かおきにエネルギー効率の良い、精の付く食べ物(鰻や焼き肉など)を食べるというのも良しです。鰻にはビタミンBやミネラルも豊富に含まれています。「アレ食べたいコレ食べたい」の食欲は「アレやろうコレやろう」の意欲に通じるので、食欲を落とさず、美味しい食事が継続できるよう養生しましょう。
先日、ある患者さんからオススメの鉄火丼専門店を教えていただき、家族で行ってきました。美味しかった。その方から、「奥様のご機嫌とりにいいですよ」と言われ、「え〜、じゃぁ、毎日連れて行かなきゃいけないじゃん」と思わず言いそうになった鍼師でした。
春に三日の晴れなしとはよく言ったもので、4月は晴れが続かぬ雨の多い一月でした。後半は妙に湿度も上がり、もう梅雨か?という日もあり、胃腸の不調を訴える人も見られました。本来は5月の下旬から湿度が上昇し始め、不快指数が増し消化器系統が影響を受けるのですが、梅雨や夏に体調の大崩しをせぬよう、今年は早めの対策が必要なようです。胃腸に自信のない人には、あらかじめ短期間の断食などをして胃腸の余裕をつくったり、食事を6時間以内に収めて残り18時間をプチ断食する食事制限がかなり効きます。先日焼肉の食べ放題で限界超えて食べて絶不調になりましたが(何しとんねん)、鍼師は微妙にヘタレて16時間プチ断食、加えて足三里や中月完(ちゅうかん:胸骨下端と臍の中央)、少海(肘の内側の骨のきわ、肘を曲げてできる横じわの内側の端)の刺激で2日で完全復活でした。
今年のゴールデンウィーク?は前後半に分かれて大型とならない人も多いようですが、長期休みの明けの辛さを考えるとこれもまた良しかと。5月の上旬は本来一年で最も快適に過ごせる時期です。陽気の上昇にも身体が慣れ、身体中の新陳代謝も最も活発になります。太陽の光も降り注ぎ、紫外線のビタミンD活性化作用で、この時期の運動は、骨を強化するので、なわとびなど、直接骨に負荷をかける運動は特にお薦めです。4月から運動を始める予定だった鍼師は、なんだかんだと出遅れており、妻はセッセと毎日1時間ほど歩いて先行し、得意げで勝ち誇った顔と言動が、妙に鍼師の心を波立たせる今日この頃です(見てろよ〜)。
※鍼師祥寿院ではこのたびLINE公式アカウントを取得し、来月から毎月の休診日と鍼師の一言(文字数制限でダイジェスト版)を配信する予定です。LINEを利用されている方は是非友だち追加していただき、一度氏名を入れてメッセージをいただけると助かります。よろしくお願い致します。
2月が妙に暖かい日があったりと、厳寒の感じがなく3月に突入し、春の陽気がどんどん増して来るのかと思いきや、三寒四温じゃなく四寒三温のような、「春に三日の晴れ無し」よろしく、穏やかな日は少なく、春の嵐で突風が吹き荒れ、3月後半まで寒さで桜の開花も遅れ、また、地震も頻発と、荒れに荒れた一カ月でした。激変する気温から、体温調節が難しく、自律神経の調整余力が削られ、体調崩す方が多くみられました。皆さんは如何でしたか?
鍼師は3月27日の健康診断のため、減量に挑戦し、今回の方針は食事制限のみで、空腹時間の確保のため朝食を抜いて、昼は少な目、夕食に高蛋白低糖質で励んできました。概ね協力的だった妻が、減量が順調だと、高カロリー高糖質の好物カレーライスを作って邪魔を入れたりしましたが(嫁~なにしとんねん、怒)、まずまずの結果だったかと。
さて、4月はさすがに春の陽気が本格化するはずですが、そうなると、「春眠暁を覚えず」で、なんとなく調子が悪い、だるい、眠い、といった春の不調状態に陥り易くなります。これは、、新陳代謝が寒さによる抑制が外れて急激に活発になることによる「ビタミン欠乏」も原因の一つ。特にVB1,VB6,VEが不足するので、豚肉、春キャベツ、ピーナッツ、ネギ、ニラ、ニンニクなどを食べてビタミンB群の補給をしておくと効果的です。それから「快適気候」で体温維持が不要となり基礎代謝が逆に低下するのも関係してきます。こういった状況に対して、ツボ療法は、先月も紹介した「太衝」「曲泉」や足の外くるぶしの前・下・後ろ周辺の刺激が有効です。
4月の下旬からは、春の急激な陽気の上昇にも慣れ、万物の生長の時期よろしく人間も心身の地力を増進するのに適した時期に入ります。これからの3ヶ月間で、その後の季節を乗り切るための身体を作り上げたいところですが、そのためには適度な運動と十分なたんぱく質の摂取が必要です。で、今回はこのたんぱく質摂取について一言。最近、食べているのに腸での吸収に難がある「リーキーガット(腸粘膜の網目が緩くなって漏れる状態)症候群」が注目されるようになりました。肉を食べても、消化され使えるアミノ酸の形でなく高分子で吸収され、元気になれず逆に疲れたり、アレルギーの原因になったりします。この為、まずはたんぱく質を消化吸収できる小腸粘膜の改善なのですが、小麦粉のグルテンと牛乳のカゼインが腸粘膜に長時間張り付き傷つけることが判っていて、2週間制限するとリーキーガット症候群から回復するようです。最近は葛西駅近くに美味しそうなコッペパン屋さん開業など誘惑が多いですが、体力増進・筋肉量アップのファーストステップとしてやってみてください。
最後に一言。今年4月から、特定健診における高血圧での受診勧奨と判定する基準(mmHg)が、現在の「収縮期140/拡張期90」から「収縮期160/拡張期100」へと変更されることになりました。鍼師は長年、「血圧は低ければ低い方が良い」という医師の意見に疑いの目を向けていましたが、不必要な降圧剤の処方・服用が減ればいいなと思う今日この頃です。
2月は例年より2週間早い19日に春一番が吹き、20日に東京で23.7℃、群馬県高崎市では25.7℃の夏日を記録するなど、一体夏はどうなるの?と戦々恐々する気候でした。ということでしっかりと暖冬ではあるのですが、常に暖かいわけではなく、気温の乱高下が激しく、急に冷え込む時には、先月も書いた冬の病たるギックリ腰や坐骨神経痛、急に気温上昇する時には、肩凝り・頭痛・めまい・耳鳴り・のぼせといった春の病が発現し、冬と春の病の入り乱れる落ち着かない一月となりました。 これからは寒さで頻発する症状は落ち着いてきますが、春の病は逆に増えてきます。春の病は東洋医学的には、肝気の乱れにより体内の気が上昇し起こる上半身の症状です。この対処としては足の1・2指の間の付け根にある「太衝」や膝窩横紋の内端にある「曲泉」という肝臓強化のツボを刺激したり、食後や夜の入浴中などに下腿をしっかりもみほぐすことが有効です。 この肝気の乱れ、精神的には能動的な精神活動のコントロール不能という形で現れます。これがマイナスに働くと、やる気がでず、ボーとして物事に集中出来なかったり、鬱っぽくなったりします。プラスに働くと統制が利かずに突発的行動に出たり、イライラして怒りっぽくなったりするわけです。痴漢や露出狂などの軽犯罪が増え、周囲との摩擦や夫婦喧嘩が多くなるのがこの時期です。年初から妻の買い漁っている防災グッズや水の備蓄が妻の寝室を圧迫し、地震があったらこれで圧死するんじゃねーの?と思う今日この頃ですが、余計な事は言わずに、今日も穏やかに過ごす鍼師でした。 〜追記〜 今年6月の郵便大幅値上げを機に、ハガキでの休診予定通知を大幅縮小予定です。治療院での「一言・予定表」配布とともに現在、ホームページ等の改革中(shoujuin.netで試作中)です。なにかお気付きのことがあれば皆様のご意見お待ちしております。
今年は元旦の能登半島地震に始まり、2日にも羽田空港で日航機と海保機の衝突事故と、とてもお祝いムードになれない年の幕開けとなりました。震災の犠牲者、海保機の犠牲者には謹んでお悔やみ申し上げます。その中でも日航機の乗員乗客の全員無事脱出は「まさに奇跡」と世界のニュースに報じられ、乗員の的確な指示と乗客の模範的な脱出は賞賛に値すると拍手を送りたいです。
比較的暖かく推移してきた関東ですが、大寒の頃は寒波も来て、そのためか急性の腰背部痛(いわゆるギックリ)が目立ちました。このギックリというのは、脊柱起立筋の筋膜や椎間関節を支える靱帯といった軟部組織の損傷で、治療は局所の鎮痛による関連痛の排除と損傷部位の循環改善で治りますが、こじらせて慢性に移行させないことが肝要です。同時に多かった坐骨神経痛は、神経周囲の筋肉組織等が冷え込みによる緊張で一定時間神経線維を圧迫したことで、神経が過敏状態になり発症します。一度過敏化した神経は正常に戻るのに一定時間が必要になりますが過度な心配はマイナスなので避けましょう。ともかく、2月半ばまでは寒さが続くので、腰背部が冷えているときはカイロや腹巻きでガードし、トイレを我慢すると膀胱を中心に冷えるのと、腎臓の働きを邪魔してさらに腰に響くのでマメにお小水に行き、内外から温めましょう。
敏感な人では1月前半から症状が出始めている花粉症。東洋医学では花粉症になる体質「水毒(水滞)」を改善するという根本療法がありますが、発症したら対症療法中心になります。効果的なツボとしては、メガネの鼻あてが当たる所にある「鼻通」というツボや正中線上で髪の生え際から1~2㎝入った所の「上星」というツボ、後は手の「合谷」があり、これらのツボをズーンと強めに押すという刺激をしばらく与えるだけでも鼻水症状の軽減を期待できます。
先日、関東でも東京湾を震源とする震度4の地震がありましたが、元旦以降、防災意識マックスの鍼師の妻は、楽観的で危機意識の低い鍼師にイライラを募らせているようです。今回は妻が正しい(いつも正しいとは言わない)と、いずれ訪れる関東大震災に物資的にも心身的にも準備に協力しようと思ってます。…出来るだけ。
〜追記〜
今年6月の郵便大幅値上げを機に、ハガキでの休診予定通知を大幅縮小予定です。治療院での「一言・予定表」配布とともに現在、ホームページ等の改革中です。皆様のご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。