今月の一言
2026年03月
2月は28日間と短い一か月でしたが、2月8日は衆議院選挙の投票に雪が舞う中、投票所まで歩いたのに、ほぼ2週間後の23日は春一番で、東京としては観測史上初の2月の夏日(25℃超)という凄まじい気温上昇で、皆さんついていけずに体調を崩す方も多数おられました。春一番などフェーン現象による急な気温上昇と寒の戻りの「三寒四温」の季節はまだしばらく続きますので注意が必要です。
「木の芽時には調子が悪い」といわれるように、この急激な陽気の変動には自律神経がついていけません。東洋医学では、春の陽気は肝気を乱し、体内の気が統率を失い、上へ昇って下半身と上半身のバランスが悪くなり、足腰がだるい一方、肩から上は詰まった感じで、肩・首の凝り、頭痛、さらには眩暈・耳鳴りを引き起こしたりします。
この場合当院では、肩首の凝りは散鍼などで散らすように治療しますが、首に関しては後頸部だけでなく頸動脈のある前頸部も大事。頸動脈には頸動脈洞という圧受容器があり、ここを指圧すると圧迫により血圧が高いと錯覚し、血圧と脈拍数を下げようとします。その反応が副交感神経優位に働き、循環系の調整だけでなく、不眠症などの睡眠障害、便秘や下痢といった消化系障害などの自律神経全般の調整にも役立つので、耳の下から頚の中央に走る胸鎖乳突筋の中央部をその奥の頸動脈ごとマッサージするのは非常に有効です。
上下のバランス補正に関しては、上実下虚の基本穴である「足三里」とともに、足の1・2指の間の付け根にある「太衝」や膝窩横紋の内端にある「曲泉」という肝臓強化のツボを刺激し、下腿を指圧して上昇した肝気を下に下げます。皆さんも入浴中などにふくらはぎをせっせと揉みほぐしてみましょう。
さて、フェーンという言葉はもともとドイツ由来で、本場ドイツでは、フェーン風が吹くと精神不安で、自殺者が増え、交通事故が多くなるとの統計もあります。我が国でも春の陽気による肝気の乱れは、精神的には能動的な精神活動のコントロール不能という形で現れます。これがマイナスに働くと、やる気がでず、ボーとして物事に集中出来なかったり、鬱っぽくなったりします。これには生活リズムを整え、朝できるだけ太陽の光を浴びて、シャキンとさせましょう。睡眠中に脳内に分布するメラトニンは目からの太陽光刺激でパーっと分解し、意識の覚醒とともに自律神経のメリハリとなり鬱脱出です。
逆にプラスに働くと、古医書にある「肝傷られれば怒する」との記述にあるように、イライラして怒りっぽくなったりするわけです。社会的にも、車の危険運転や、計画性のない突発的な暴力事件、欲望の抑制がきかない痴漢や露出狂などの軽犯罪が目立ったりします。なにげに夫婦喧嘩も一番多くなる時期ですが、この怒るという感情は拗らせれば周囲の環境を劣悪にし、じわりじわりと健康を蝕みます。皆さん是非、精神修養の良い機会だと思って、怒りと行動を直結させずに、ワンテンポおいて、深~く深呼吸をして、冷静に慎重に行動してみましょう。怒りを巧くコントロール出来ると、生産的なやる気につながり、心の平穏と共にと幸せになれるはず。鍼師はすでに、「他人(妻)は思い通りに成らない」と達観し、自分の意地やプライドを見直し、多様な価値観を受け入れ、内観により常に冷静に自己分析するもう一人の自分を創ることに成功し、聖人のような道を歩いています(ウソ)。万が一余裕がない人に、理不尽にイライラをぶつけられたとしたら、「あの人は春に翻弄された可哀そうな人」と同情したり、「ラッキー、これを乗り越えて魂をワンランクアップ!」と考えたりして乗り切りましょう。それでも難しければ、軋轢が生じる人との間に距離を作りましょう。鍼師にも昔、心の平穏のために妻と500kmの距離を保っていた時期があったなぁ~(遠い目)。
2月は、ミラノコルティナ冬季オリンピックが開催されました。選手の皆様には申し訳ないのですが、大して注目も期待もしていたかったのが、連日のメダル獲得となる大活躍で随分楽しませていただきました。活躍以上に素晴らしかったのが、自分に結果が出なくても、国を超えたライバル達と結果を称えあう雰囲気があったことです。本当に良いオリンピックだったなぁと、鍼師もほっこりさせてもらいました。
先月までの一言
2026年02月
年明けからゆったり過ごしていたら、3日朝は雪が積もっていて吃驚したり、妙に暖かい日が続いたと思ったら、反転して寒気が流れ込んで、グッと冷え込んだり、寒暖差の激しい一か月でした。風速1mで体感温度は1度下がるそうで、天気が良くても風が強いため寒いと感じる日が多かったように思います。
インフルエンザも昨年11月の流行から一度収まったものの、今年に入りB型の流行が始まっており、2回罹患する人も居られるようですが今後も注意が必要です。積極的なガード(予防)として一番予防効果が高いのは手洗いですので、帰宅時には忘れずに。R-1ヨーグルトなども効果的ともされますが、生薬「桂皮(けいひ)」(食品にも使われるシナモンやニッキ)も有効です。お試しあれ。
東京の1月は雨天極わずかで、乾燥は酷く、洗濯物は早くパリパリに乾くものの、皮膚は乾燥しすぎで掻痒症になる方も多かったです。皮膚の状態は、綺麗好きほど荒れるのですが、痒くなって「汚れや垢は、こそげ落としてピッカピカだ〜」とゴシゴシ洗うのは実は逆効果なのです。肌に関してはその垢こそ大事。人体の表面を覆う角層は、死んだ細胞(=垢)といえる角質細胞でできていて、その角質細胞の間にが、 NMF(アミノ酸保湿成分)やセラミド(細胞間脂質)といった保湿に役立つ成分が、まるでセメントでレンガブロックを固定するかのように埋まっていてコーティング層となり、水分を逃さないようにするのです。この角質層は強くこすると24時間回復しません。風呂好きでも肌は軽く表層の油分を手で洗う程度で垢も大事な身体の一部と考えて、入浴時は優し〜く、大事~に扱ってあげましょう。内面から肌を助けてくれるものに、薏苡仁「ヨクイニン」という漢方薬(ハトムギ粉末)があり、これも有効です。ツボとしては、肩を水平の高さに外転して、肩の前にできる窪みに肩髃(けんぐう)というツボがあり、美肌のツボとしてお薦めです。
今月は日本人の罹患する病で最も多い病気、花粉症にもふれておきましょう。すでにそれらしき症状を訴えておられる患者さんもおられますが、本格的にはこれからです。一般的な予防としては花粉のばく露を防ぐ、ということになりますが、外出にあたっては花粉情報に留意し、マスク・メガネなどの花粉症グッズを着用して、できる限り花粉をあびないようにすることが必要です。帰宅時には、花粉除去と鼻粘膜の炎症に対する「湿潤療法」的観点から、鼻うがいも有効です。生理食塩水(0.9%の食塩を溶かした蒸留水)を作って挑戦してみましょう。
花粉症に対するツボ療法は、メガネの鼻あてが当たる所にある「鼻通」というツボや正中線上で髪の生え際から1〜2㎝入った所の「上星」というツボなどが効果的。これらのツボはズーンと強めに押してパッと離すという刺激を5〜10回与えるだけでも鼻水症状の軽減を期待できます。根本的には、東洋医学では、花粉症が悪化する体質「水毒(水滞)」を改善することをめざします。「水毒」とは、水がバランスよく身体に分布せずに、一部の部位に停滞した状態をさします。この状態の人が花粉などの刺激をきっかけに余分な水分が鼻水や涙という形を取ってあふれ出て来るという現象なのです。これを改善するには、冷えを取り、余分な水分の排出を促し、かつ血液やリンパの流れを良くするということです。また、腸内環境の改善は、免疫機能の正常化・強化に繋がります。年末年始で食べ過ぎて、良くない食習慣を引きずっている方は、食事の量を減らし、食後眠るまでの時間を3時間確保するなど努力して、絶好腸にもっていきましょう。
現代医学的には舌下免疫療法があります。要はだんだん濃度を濃くした花粉エキスを舌下に垂らして慣らしていく「減感作療法」ですが、「医師の指導のもとで」と仰々しくせず、「減感作療法キッドを薬局で」とかで普及させられたら医療費の削減になるのにと思っちゃたりします。
さて、2月は冬季オリンピックが楽しみだと思っていたら、衆議院解散で総選挙にもなり、何となく落ち着きません。ついついSNSやYouTube動画を見て夜更かししちゃうかも?こうしたことで生じる睡眠不足は、脳の疲れに直結しているだけでなく、免疫機能を低下させ、万病のもとである慢性炎症を起こりやすくします。脳には日々老廃物がたまりますが、睡眠時は老廃物の処理速度が起きているときに比べて1.6倍にもなります。寝る時間が少ないと老廃物がたまり、将来の認知症リスクが上がります。また、記憶の定着に関係する海馬は、寝不足により傷つき委縮します。さらに、若々しい細胞をつくる指令を出す成長ホルモンは、睡眠時に大量に分泌され、とくに入眠後3時間の睡眠の質が成長ホルモンの分泌に関わります。良質な睡眠は脳に大事。食薬として脳の疲労と若返りのため、オメガ3脂肪酸を多く含む青魚をとりいれ、早寝早起きで頭脳明晰といきましょう。
余談ですが、先日、患者さんの身内の方にご不幸があったものの、火葬場の関係で2週間葬儀がずれ込んだとのお話をお聞きしました。葬儀自体は新型コロナ流行から小規模化していく傾向で費用も下がってきていますが、関東、特に東京23区は深刻な火葬場不足で死者数の増える冬場(12月〜3月)は1週間以上待つ「火葬待ち」が常態化しているとのこと。追加でかかる費用は、1日あたり約1万〜2万円(安置料+ドライアイス)が相場で長期間の火葬待ち(10日以上など)だと防腐処理などのエンバーミング(15万〜25万円程度)が必要になることも。頭脳明晰状態でついつい計算しちゃいました。死んだ後もお金がかかる、あぁ、世知辛い(泣)。
2026年01月
新年あけましておめでとうございます。本年も鍼師祥寿院をよろしくお願い申し上げます。11月から穏やかに推移した気温が、12月中旬から寒波で一気に冷え込み、年始も冷え込みが続きそうです。東洋医学的には寒い時期に影響を受ける臓器は、冷えた身体を温めるために、余分な水分をどんどん尿にして排出する腎系統(腎臓・泌尿器)で、体表では腰に現れます。人間というものは絶対的な寒さ(例えば、気温0℃が続く)より、相対的な寒さ(前日15℃で今日5℃など)の方が耐え難く、12月は腰痛・坐骨神経痛が頻発しました。ギックリ腰は通年見られる症状ですが、この時期は特に注意です。足腰下腹部を積極的に暖め、お小水をマメに出して膀胱を出来るだけ空にし、「腎兪」「三陰交」「湧泉」のお灸刺激を心がけましょう。
今年は年末年始を比較的ゆっくりと過ごせている方も多いかと思います。気の緩みから年末の疲れがドッと出たり、正月の食生活の乱れは如何ともし難いところ。特に正月と言えばお餅。ついつい食べ過ぎてしまいますが、実はもち米は、血をネバネバさせて身体に熱が籠った「湿熱」という状態に導きます。この湿熱は、熱を持つ炎症疾患(関節痛・リウマチ・蓄膿・蕁麻疹・化膿など)や胃腸が疲れて口内炎等できる人には好ましくありません。美味しいけれどお餅はお正月のみとしましょう。清熱・利尿があるキュウリや清熱・生津(体液補充)作用のあるトマト、漢方薬として薏苡仁(はとむぎ)で調整するのも良いですよ。
さらに寒い時期に気を付ける病気は血管病。冬の入浴によるヒートショック。早朝のトイレで、寒さによる毛細血管の緊張と血圧の急上昇で脳卒中をおこす事例も増加します。最高血圧と最低血圧の差を脈圧と言いますが、これが大きい人は血管壁の弾力が失われ、動脈硬化が進んでいる証拠なので特に要注意です。症状としては、風邪症状が無いのに頭痛がして、左手の脈が右と比して早く激しく打っている場合(中風脈)、心臓や脳に大きな負荷がかかっていると自覚しましょう。ツボ療法としては、「膻中」や、「心包経(前腕の掌側中央を手首から肘までのライン)」を10秒ほど指圧刺激すると心臓の負担軽減で有効です。
2026年は干支で言うと丙午(ひのえうま)にあたり、「丙」も「午」も火の性質を持つことで、強いエネルギーで前進し、道を切り開き、成功を収めるという運気が上がる縁起の良い年とされています。経済ボロボロながら影響力とアクの強い中国や、どっちを向いてるのかよく分からないトランプ率いる米国など日本を取り巻く環境も厳しいですが、一歩一歩力強く前進してほしいものです。普段引っ込み思案で、人見知りで、慎重派の鍼師も、今年は大胆に失敗を恐れず、色んなことに挑戦する一年としたいと思います。で、何に挑戦するの?う~ん、何にしよう?神仙華佗を目指す?(無理~)
2025年12月
「秋が無かった」と思うほど寒く天候不順だった10月から、「秋が戻ってきた」という感じの穏やかな秋晴れの続く11月でした。さすがに後半はグッと冷え込むことが増え、寝違い・頚椎症・ぎっくり腰など多々見られました。今後も体が固まって起こる諸症状や普段使いじゃない動作・負荷は要注意です。大掃除は一度にやらずに、コツコツと。
今季はインフルエンザの流行が例年より一か月以上早く、現在も全国的に拡大中で、江戸川区の小中学校でも学級閉鎖があちこちでとか。インフルエンザは変異も激しく、ワクチン接種を済ませていても感染することは十分考えられます。とにかく予防が大事で人混みの中ではマスクが必要です。またマスクは、濡らしておくと、ウィルスの遮断効果も増し、気道の保温保湿効果も高く、呼吸器系全般の免疫力を上げる意味でもかなり有用です。インフルエンザで最も注意しなければならないのは脳症ですが、実はこの脳症はインフルエンザが原因ではなく、非ステロイド系抗炎症成分のジクロフェナクナトリウムが原因と判っています。インフルエンザ罹患時には安易に解熱薬で熱を下げない方が良いですが、どうしても使わざるをえない場合、副作用の少ないアセトアミノフェン(カロナール)や漢方薬の麻黄湯を選択し、ボルタレンやポンタールは危険だと考えましょう。
この時期は、ついつい忘年会等での楽しーい暴飲暴食が続きます。食べすぎてカロリーと糖質を過剰に摂取した場合、余分なものは脂肪として体に蓄えられますが、それには1~2日程度の時間がかかるため、2日続けての暴飲暴食は確実に脂肪を蓄積させます。ですから暴飲暴食時には、3日間かけて食事や睡眠で体を調整し、その都度もとの状態に戻すように心がけてみてください。少しでも蓄積させないために、とりすぎてしまった分のカロリーを3日かけて減らすようにしましょう。例えば、摂取カロリーがいつもより1000kcalオーバーした場合、1日あたり通常より300~400kcal減らすことで調整していきます。そして、不摂生で疲れてしまった胃腸や肝臓のために抗炎症食材、整腸食品をとるとリセットです。
便利な調味料としてカレーパウダーがあります。漢方薬でも使われる生薬がたっぷり入っていて、健胃整腸、鎮咳、肝臓調整、冷えの改善、ストレス軽減、抗炎症作用、抗菌作用など期待できる効能もたくさんあります。食材としてニラもおすすめ。ニラはネギ属の植物なので、アリシンが含まれ抗菌作用が高く、免疫力を高める効果があります。そして、アリシンは、ビタミンの吸収を高めて代謝を上げる働きをもつため、冷え改善や疲労予防にもおすすめです。具材にニラを入れた味噌汁にティースプーン1杯分のカレーパウダーを入れたスープカレー風ニラの味噌汁、いかがでしょう?風邪予防にもなりますよ。
ツボ療法としては、アルコール対策で肝臓の反応点である「太衝」(第1指と2指の骨間の線上)の刺激、胃腸対策として「衝陽」(足の第2,第3指の骨間、足骨の高くなっているところ)を「足三里」とともに、じっくり指圧や灸の温熱刺激を加えましょう。
今年も残すところあと一ヶ月。師走ということであっという間に過ぎ去りそうです。振り返ると、猛暑はひどくなり、連日の熊被害に吃驚し、大谷他日本のスポーツ選手は大活躍し、初の女性総理大臣に高市総理が就任して政府の性格がガラッと変わり、中国は相変わらずなのか?どんどん余裕がなくなっているのか?暴走気味で、うちのカミさんも時々暴走し、本当に色々とありました。来年はどんな年になることやら。来年の目標をじっくり考えつつ(そんな時間あるか?)体調を整え気持ちよく新年を迎えたいですね。
2025年11月
9月は酷暑がいつまで続くのかと、地底都市にでも住みたいなどと思っておりましたが、10月は一転して気温が下がり、秋晴れ乏しく、日照時間が例年の半分と、自律神経失調や鬱っぽい感じやら、気力の低下やらが多く、ヒジョーに陰鬱とした一か月となりました。「少々暑くても晴れがいい」、人間は無いものねだりです(苦笑)。
秋は肺系統が影響を受ける季節ですが、東洋医学では肺と大腸が表裏関係と、呼吸器とともに腸の粘膜にも影響が及ぶとされています。その影響は、日照時間とビタミンDでも次のように説明できます。
日照時間が減少すると皮膚にあるビタミンD3前駆物質に紫外線が当たらず、活性型ビタミンD不足となり、よく知られる骨を丈夫にする働きだけでなく、体内に侵入したウイルスや細菌などに対して、過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進する作用が低下し、かぜやインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症に弱くなります。
また、ビタミンDは、抗菌ペプチドをつくり腸粘膜のバリア機能を高める効果や、腸粘膜の結合を改善しリーキーガット症候群の予防につながるため、不足すると腸内環境が崩れます。鍼師も冬季の不調な時にビタミンD3のサプリメントを摂取していますが、わりと調子が良くなるように感じています。
呼吸器系と風邪に関しては先月触れましたが、今月は腸の養生についてもう少し詳しく。腸と口腔内の細菌叢は連動していて、どちらかが乱れると免疫力低下の悪循環を招き、どちらかの調子がいいとお互いの免疫力が上がります。日中は唾液が口内悪玉菌の増殖を抑えますが、唾液の少ない人は梅干しなど酸っぱいものも摂取して、唾液腺を刺激しましょう。口内の歯周病菌や虫歯菌は悪玉菌の代表ですが、その他の雑菌も増殖させない様、寝る前は特に歯磨きなどの口内ケアが大事です。
腸内や口腔内で悪玉菌が増えるような甘いものをひかえて、強力な殺菌作用があるアリシンという栄養素を含むらっきょうやネギ類、整腸作用に富む、味噌やキムチなどの発酵食品、免疫作用の強いキノコ類(特にマイタケ)をしっかり取り入れ、年末の暴飲病食シーズンに備えましょう。
腸の不調には便秘や下痢がありますが、これらを整えるツボとして、鳩尾と臍の中間点の「中脘」、臍から指3本分左右外方の「天枢」、臍の指4本分下の「関元」、左右天枢の指3本分下の「大巨」があります。ここにお灸したり、臍を中心にこれらのツボに「の」の字を描くように、優しく10回ほどマッサージする「腸もみ」もおすすめです。
今年の10月は天候不良以外にも、万博閉幕やら、ノーベル賞日本人2人受賞やら、ゴタゴタの政局の末初の女性総理大臣誕生やら、大谷活躍やら、鍼師的にはエレベーターの交換やら色々ありましたが、ショッキングだったのがクマの被害。ツキノワグマが臆病で人は襲わないという常識が覆され積極的に人を狩る個体も出現し10月末時点で被害者12名と過去最悪。調べてみると、それまで最大の被害者をだした2023年(被害者6名)には、9000頭以上のクマを捕殺しているそうなのに減らずに被害拡大とは、本当に怖い。海は子供のころ映画「ジョーズ」を観てから近づかないようにしてるけど、山はねぇ~。カミさんの実家も限界集落だし。先日、日光旅行を計画していたので一応警棒を常備して行きましたが、クマに出くわしても「俺が戦うから、お前は逃げろと」カミさんに言えなさそうな~(泣)。いやいや、鍼師の北斗神拳が火を噴きますから!あたたたたたー。人生の最後が猟奇的なものでありませんように願う今日この頃です。
2025年10月
まず初めに、先月緊急告知しましたが、10月16日(木)までエレベーターの交換工事のため、階段しか使えなくなります。ぎっくり腰や、膝痛、股関節痛、坐骨神経痛などの腰下肢の疼痛障害には、来院が厳しく誠に申し訳なく思います。そうでなくても4階までの昇り降りは大変です。皆様には大変ご迷惑おかけします。幸いなのは、いつまで続くかと思われた、猛暑日がお彼岸を境にかなり涼しくなったことです。「頑張って階段使って伺うわ」と言ってくださった患者様には、暑い中を階段上って4階まで、というのは回避されそうで、ホッとしています。それでも大変ですが、よろしくお願い申し上げます。
今年の夏は、本当に9月の半ばまで猛暑日が続くという、鍼師も夏バテを感じる猛烈な暑さでしたが、常時エアコン運転による悪影響もあり、エアコンの冷えによるぎっくり腰や寝違い、おそらく換気不足が影響していると考えられる新型コロナなどのウィルス性感冒の流行が目立ちました。その後反転して涼しくなりましたが、体感の心地よさとは裏腹に猛暑の疲れがドッと出て、昼間妙に眠いなどバテ症状や自律神経の失調が多く見られました。これは夏の陽気の消耗を引きずっているためですが、鳩尾から臍の周囲と背中の胃の裏あたりをじっくり暖めると陽気がより早く回復しシャキンとしてきます。
これからは気温がさらに下がり、急速に空気が乾燥して本格的に秋の気配を感じるはずですが、東洋医学的な考え方では、秋は肺系(呼吸器・皮膚・粘膜)が影響を受ける季節です。これからは、肺を強化する「中府」「肺ゆ」、免疫強化の「大椎」、喉の強化や熱取りに使う「母指・人差し指の爪の生え際」といったツボを刺激しましょう。風邪に対しては、発熱の初期には上半身の発汗を促し、解熱薬は熱のピーク(発症から1日程度)まで我慢して服用、というのが理想です。漢方薬は、悪寒など風邪初期は「葛根湯」、発熱時は「麻黄湯」、咽喉痛には「小柴胡湯加桔梗石膏」、運悪く長引くと「桂枝湯」と場面により上手く使い分けましょう。
さて、少し涼しくなったと思ったら、いつのまにか日はだいぶ短くなってきていて、秋らしく物悲しい季節になってきています。昔から、人の霊魂を魂魄(こんぱく)と言いますが、魂と魄はそれぞれ正反対のベクトルを持つ精神エネルギーで、魂は能動的な精神エネルギーとして肝臓に宿り、魄は受動的な精神エネルギーとして肺臓に宿るとされています。このため、秋は肺が影響を受け、受動的な精神活動である感受性が高まり、ナイーブになります。これが東洋医学の言うところの「心身相関」です。具体的には、感受性がいい作品に繋がると「芸術の秋」になりますし、味覚に対する感受性が高まると「食欲の秋」になります。また、人間関係では「恋愛の秋」や「失恋の秋」も盛んになります。東洋医学的には「憂い・悲しみ」が過ぎると、さらに肺を傷つけるとも警鐘を鳴らしており、この時期は、何か辛いこと、落ち込むことがあっても、「秋が私をそうさせるのね」と責任転嫁したり、割り切って感情を爆発させ、涙をたくさん流すと、精神的に癒されてスッキリします。実は涙には、ストレスを受けたときに脳内に大量に作られるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を排出する作用があるためなのです。ACTHは内臓や筋肉を緊張させるので、健康のためにも悲しいときは我慢せずにしっかり泣くことをお勧めします。
また、「そうは言ってもなかなか・・・泣けません」という人は、ため込んだストレスで脳がマイナス状態になることがあります。脳がマイナス状態だと、様々な苦痛をさらに増幅することがあり、この増幅した苦痛が「本来の苦痛だ」と脳の勘違いを引き起こすと、苦痛の慢性化につながり苦労します。鍼灸では、頭の百会の上下左右にある「四神総」というツボに鍼をして気を落ち着けたり、仰向けで首を緩めながら耳後下の乳様突起近くの「安眠」というツボを刺激してリラックスさせ、脳のリセットを促したりします。漢方薬だと「半夏厚朴湯」が有効に作用し、気が楽になることがありますよ。
2025年09月
8月は前半猛烈に暑く、つづくお盆中は30℃程度におちつき、真夏日なれど涼しく感じられる可笑しな状況でした。その後一転して猛暑日が続いて、とにかく「暑い!」としか言葉の出ない沸騰化真っ只中の8月後半ですが、東京都心は連続猛暑日(最高気温35℃以上)が10日と最長記録を更新し、年間猛暑日も25日以上と最多記録更新中です。疲れや消耗がドッと出て夏バテを感じる方も増えていますが、逆に猛暑の中でも花火や祭りなど皆さん元気に外出されているのも見かけます。子供達にはあっという間の夏休み、鍼師も母の怪我と見舞い、長男と彼女の慶事などドタバタしているうちに終わった一か月でした。9月と10月は例年より気温が高く残暑厳しい模様で、秋雨前線の影響も平年より遅れて10月になるとか。秋よいずこ?(泣)。
夏の消耗を引きずらないために、夏の延長線での冷たい飲食物は控え、内臓を温める作用がある根菜類(かぼちゃ、玉ネギ、レンコン、ニンニク、大根など)を食事に取り入れ、さらに食事の全体量も制限して胃腸の保養に努めることが大事です。
9月は台風が多く上陸する季節で、台風による急激な気圧の低下では、喘息患者が急増します。台風の影響を肌で感じる人は、肺が弱っているので、本格的に秋に突入する前に、乾布摩擦など、皮膚の刺激を通じて肺系統全体の強化を図り、ツボ刺激として、中府(ちゅうふ:鎖骨外端の下・陥凹部の下3センチ位)や母指や人差し指の刺激を試みてください。
今年は例年よりありがたさを感じた冷房ですが、昔はなかった冷房がどんな影響をもたらすか?今月は「夏から始める冷え対策」です。
東洋医学的には、夏は汗をかくことで腎が休まり、冬になると腎がしっかり働いて体を冷やす余分な水分をかき集めて排出することで体を温める、と考えます。ところが、夏は冷房のせいで冷え性の素地を作りやすい季節でもあります。冷えとは詰まる所、抹消循環の血行不良ですが、手足が冷えるところから始まり、しもやけや様々な神経・関節などの痛みに繋がります。また余分な水分の停滞(東洋医学では「水毒」と呼びます)を引き起こし、腰痛・生理痛等が慢性化します。さらに進むと、身体を温める陽気と身体を沈静化する陰気の分離を引き起こし、(冷え)のぼせ・ほてり・頚の詰まり・頭痛・酷い肩こりといった症状を呈し、この状態が常態化すると、クモ膜下出血、脳溢血、心筋梗塞などで倒れることになります。こうやって見てみると、まさに冷えこそ万病の元。昔から「風邪は万病の元」と言けど、英語で風邪はcoldなのはそう言う事なのだ〜、というのは、まあ、こじつけですね。
夏は冷房のせいで冷え性の素地を作りやすい季節でもあり対策が必要です。で、対策ですが、第一に下半身浴+「三陰交」のツボ刺激を1分間。第二に「水毒」に対する食養生。ニガウリ・セロリ・ピーマン・グレープフルーツなど苦みのある食材で、身体の余分な水分を取り去りましょう。
本来人間には外気が寒くなると、体温を維持するために末梢の毛細血管が収縮し皮膚近くに血液を流さないようにして、体温の流出を防ぐメカニズムがあります。これが働き過ぎ、末梢循環不全になると「冷え性」など様々な障害に繋がっていきます。こうならないよう人間の身体には毛細血管と動静脈の中間に、血液をバイパスする経路(AVA血管:動静脈吻合管)が存在します。このAVA血管さえ働けば「冷え性」にならずに済むのですが、冷え性の人はほとんど機能していないことが分かっています。これを鍛えるのが第三の対策です。方法は、
- ①冷たい水と熱いお湯を1分毎に交互に7回繰り返す「冷温浴」と
- ②仰向けに寝て手足を垂直に上に挙げて2分間ブラブラさせる毛管運動(ゴキブリ運動)です。
3ヶ月頑張ると体質が変わるので是非頑張ってみましょう。
ちなみに、いわゆる低体温は、冷え性とはまた違って、エコカーのようなカロリーの省電力モードと言えます。これは、長寿の三大要素の一つで(他は、低インシュリンと高DHEAs)、過度な心配は不要です。ただ、免疫力は体温が高い方が強いので、感染症(特に肺炎)だけには注意ですね。
2025年08月
7月5日午前4時18分、とうとう予言の大災害が…、起こりませんでしたが、それに先立つトカラ列島の群発地震やら、その後のインドネシアのレウォトビ火山噴火やら、不穏な雰囲気の漂う7月でした。大体、日時を限定した予言で、世間から注目されたものはまず当たらない、とは思っていましたが、万が一に備えて、カセットコンロのガスボンベをまとめ買いし、それを運ぶ際に4年ぶりのぎっくり腰を発症し、「鍼師の腰が大災害や~」と叫びつつ、久々にぎっくり時の辛さを味わい、患者さんにバレないよう装いつつ、スムーズな治し方の復習に勤しみました(転んでもタダでは起きん!)。急性の腰痛は、多くは筋膜や筋組織の損傷で、循環を促進し、疼痛緩和による過剰な緊張を除去したらスムーズに治りますが、深部の椎間関節の炎症だと少し時間がかかり、より長くかかるケースには、他の内臓疾患の反射痛や年配の方の腰椎の圧迫骨折などがあります。そのほか、痛みから損傷部近くの神経を圧迫し、神経自体が過敏化した坐骨神経痛などもあり、過敏状態の脱却まで時間がかかるケースもあります。さらに、本来はただの組織損傷だったものが、それが修復しているにもかかわらず、痛みに対する防御反射(痛い→傷口がある→傷口を広げないため固まっとけ→動作開始時に余計に痛む)が脳の勘違いで残ってしまい、脳の不安や緊張のリセットが必要なケースも少なからず見られ、苦痛が拗れて慢性化することが少なくなるよう願うばかりです。
さて、7月早々に梅雨明けするかと思っていたら、結局関東は18日に梅雨明けとのことで、鍼師的には「雨も降ったりしたけど、梅雨の雨じゃないだろ」とか「梅雨は6月8日からの1週間だけだったな」とツッコミしつつ、猛暑の突入となりました。気温上昇時には首肩コリや頭痛など陽気の上昇による症状を呈した患者さんが多く、睡眠の質低下による疲労蓄積や冷房の影響か、鍼師以外にもギックリ腰が多い一か月でした。
これから、暑さのピークを迎え、8月中旬までが最高に暑い酷暑だと思いますが、熱中症対策は先月の一言を参考にしつつ、不要不急の外出は控えるくらいが良いでしょう。徐々に暑さにも慣れてくるはずですが、次は長引く暑さ(2か月ほどか?)で、じわりじわりと心身消耗して夏バテになります。夏バテで影響を受けるのは、第一に消化器系で、はじめは、食欲はあるけど食後腹部が長く張るから、食欲不振に進み、下痢、胃に由来する下肢の外側がだるくなる、などが出てきます。さらに進むと、動悸や心臓の痛みといった循環器系(特に心臓)、倦怠感・無気力といった心身症状にも及びます。出来れば第一防衛線の消化器系で消耗を食い止めたいものです。
で、胃の養生ですが、まずは、しっかり空腹時間を作る事が大事。特に夜寝る前の食事は控えることで胃は余裕を保てます。それでも暑さの影響で胃の運動不全になった場合、これに対するツボ療法としては、ファーストチョイスで「足三里」。胃酸過多気味の場合は「足三里」に代わって「陽陵泉(膝外側の大きな骨の下)」を、消化不良で下痢気味の場合には「百会」が有効です。漢方薬としては「六君子湯」。主成分の一つビタミンPが、「グレリン」というホルモンの分泌を促進し、食欲増進・運動能力アップにつながります。ちなみに、ビタミンPは構成生薬の「陳皮」に含まれますが、みかんの皮を天日で乾燥させたものなので家庭でもすぐ作れ陳皮茶なども良いかもです。ストレスが胃痛にきやすい人は、胃が知覚過敏になっています。これには少量(胸やけしない程度)の唐辛子(カプサイシン)を長期服用するのが有効です。胃痛がなくなるだけでなく、過敏性大腸炎にも効きます。
さて、夏は、体内のこもった熱を取り除く「陰」の食べ物、いわゆるトマト、きゅうり、なす、といった夏野菜を身体が欲しますが、食べ過ぎは禁物。冷房の冷えと相まって、冷えや気怠さを感じたら生姜と一緒に摂るなど工夫しましょう。しかし、ニガウリ・セロリ・ピーマン・パセリ・グレープフルーツなどの苦みのある食材は、夏の「水毒」にたいする食養生としても、心臓を癒すためにも有効です。心臓やストレスに拠る心身疾患に対しては、「労宮(手のひらの真ん中)」や「郄門:ゲキモン(前腕内側のど真ん中)」のお灸やツボ指圧も試してみてくださいね。