2025年03月

 今年は1月20日「大寒」が3月並みの暖かさになったことで、気象庁の1月21日発表の3か月予報では、2月は平年より気温が高くなるとのことでしたが、2月に入ると「どこがやねん」と言いたくなるような、寒さでした。やはりというか、冷えから起こる腰下肢の疾患が多かったです。2度の長期寒波はなかなか予測難しいですが、暖かくなると言われると油断しますよね。

 3月は、倍率33倍で東京マラソンの出場枠をゲットした幸運の患者さんも「何着て出ようと?」と苦心するように、いきなり最高気温20度近くになるようで、これからは春一番などフェーン現象による急な気温上昇寒の戻りの「三寒四温」の季節です。「木の芽時には調子が悪い」といわれるように、この急激な陽気の変動には自律神経がついていけません。東洋医学では、春の陽気肝気を乱し、体内の気が統率を失い、上へ昇って下半身と上半身のバランスが悪くなり、足腰がだるい一方、肩から上は詰まった感じで、肩・首の凝り、頭痛、さらには眩暈・耳鳴りを引き起こしたりします。この場合当院では、足の1・2指の間の付け根にある「太衝」や膝窩横紋の内端にある「曲泉」という肝臓強化のツボを刺激し、下腿を指圧して上昇した肝気を下に下げます。皆さんも入浴中などにふくらはぎをせっせと揉みほぐしてみましょう。肩首の凝りは散鍼などで散らすように治療しますが、後頸部だけでなく頸動脈のある前頸部も大事。頸動脈は他の動脈と違い、脳の血流がショートしないよう特殊な調整がされて血液が脳へ一定の速度でスーと流れて行きます。また、頸動脈には自律神経のセンサーもあり大変重要です。脳がスッキリ働くために、耳の下から頚の中央に走る胸鎖乳突筋をその奥の頸動脈ごとマッサージするのは非常に有効です。

 さて、この肝気の乱れ、精神的には能動的な精神活動のコントロール不能という形で現れます。これがマイナスに働くと、やる気がでず、ボーとして物事に集中出来なかったり、鬱っぽくなったりします。逆にプラスに働くと統制が利かずに突発的行動に出たり、イライラして怒りっぽくなったりするわけです。痴漢や露出狂などの軽犯罪が増え、周囲との摩擦や夫婦喧嘩が多くなるのがこの時期です。皆さん、精神修養と思って、感情と行動(発言含む)を直結させず、ワンテンポおいて、冷静~に、行動によりもたらされる結果を考えて、慎重~に慎重~に行動しましょう。

 トランプ大統領は、就任以降、ジャイアンのように傍若無人に振舞ってますが、アメリカの強い立場を背景に、言いたい放題、やりたい放題してますが、計算しているのか?いないのか? もたらされる結果が理不尽のものになりませんように(祈)。

2024年7月

 6月はお隣の浦安で8年ぶりの浦安三社祭が行われて、鍼師は見に行けずシクシクでしたが大盛況だったようです。「マエダ、マエダ」と前に進まぬ神輿を担いで、漁師町の祭り命の方々は燃え尽きてるんだろうなと思っていたら、その後コロナも大流行したそうで、燃え尽きにコロナはキツイぞ、と心配しております。

 さて、例年、春の陽気の影響による自律神経失調を5月の穏やかな気候で調整するところが、今年は4月後半から雨天も多く、自律神経失調を引きずったり、梅雨時期の神経痛・関節痛が前倒ししていたりと、6月も体調不良の方が多くおられました。実際の梅雨入りは、関東甲信越で6月21日と記録的に遅くなりましたが、どうも7月は梅雨らしい天気が続くこともなく、湿度だけは上昇して不快指数はマックスになり、早々に梅雨明けして夏に突入しそうです。やれやれ。

 夏と言えば、「熱中症」と「冷房病」ですが、先日は、東京消防庁管内で33人も熱中症で救急搬送されたようで、今月は熱中症について。

 急激に気温が上昇すると発生する熱中症。人間の自律神経は暑さに対しては対応力がかなり劣り、対応出来る温度差も8℃までで、それ以上になると四肢の脱力・めまいといった軽度熱中症の原因になります。さらに狂った自律神経のため体温調節が出来ないと急激に体温上昇を起こし、めまい・四肢の痙攣・吐き気といった中度熱中症になり、最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になります。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンク少しずつ摂取することです。それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)にし、直ちに救急車です。

 予防としては、

  1. 汗腺を鍛えて夏モードにする。(10日間毎日、大量の汗をかくことで、体温が上昇すると同時に、全身からダッと汗をかき、熱放散してスッと汗が引くエクリン腺中心の発汗の獲得が出来ます。)
  2. 適切に水分補給をし、脱水に気をつける。(一度の水分補給は口に含む程度にし、20~30分毎にこまめに摂取するのが理想です。高齢になると、喉が渇くという感覚が鈍くなってきますので、特に注意です。)
  3. 睡眠不足は、発症リスクを上げるので寝不足注意です。

また、先月も触れましたが、体内の水分調節機能を整える「五苓散」という漢方薬は、熱中症の治療・予防、さらに温泉の湯当り等にも使えて便利です。

7月は、後半からオリンピック・パリ2024が開催と楽しみなイベントもありますが、前半は東京都知事選挙。立候補者56人というお祭り状況に、昨今のモラル低下を感じたり、56人もいるのに「この人に託したい」という人がいなくて、なんだかなぁ〜と嘆息する鍼師でした。

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