9月は酷暑がいつまで続くのかと、地底都市にでも住みたいなどと思っておりましたが、10月は一転して気温が下がり、秋晴れ乏しく、日照時間が例年の半分と、自律神経失調や鬱っぽい感じやら、気力の低下やらが多く、ヒジョーに陰鬱とした一か月となりました。「少々暑くても晴れがいい」、人間は無いものねだりです(苦笑)。
秋は肺系統が影響を受ける季節ですが、東洋医学では肺と大腸が表裏関係と、呼吸器とともに腸の粘膜にも影響が及ぶとされています。その影響は、日照時間とビタミンDでも次のように説明できます。
日照時間が減少すると皮膚にあるビタミンD3前駆物質に紫外線が当たらず、活性型ビタミンD不足となり、よく知られる骨を丈夫にする働きだけでなく、体内に侵入したウイルスや細菌などに対して、過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進する作用が低下し、かぜやインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症に弱くなります。
また、ビタミンDは、抗菌ペプチドをつくり腸粘膜のバリア機能を高める効果や、腸粘膜の結合を改善しリーキーガット症候群の予防につながるため、不足すると腸内環境が崩れます。鍼師も冬季の不調な時にビタミンD3のサプリメントを摂取していますが、わりと調子が良くなるように感じています。
呼吸器系と風邪に関しては先月触れましたが、今月は腸の養生についてもう少し詳しく。腸と口腔内の細菌叢は連動していて、どちらかが乱れると免疫力低下の悪循環を招き、どちらかの調子がいいとお互いの免疫力が上がります。日中は唾液が口内悪玉菌の増殖を抑えますが、唾液の少ない人は梅干しなど酸っぱいものも摂取して、唾液腺を刺激しましょう。口内の歯周病菌や虫歯菌は悪玉菌の代表ですが、その他の雑菌も増殖させない様、寝る前は特に歯磨きなどの口内ケアが大事です。
腸内や口腔内で悪玉菌が増えるような甘いものをひかえて、強力な殺菌作用があるアリシンという栄養素を含むらっきょうやネギ類、整腸作用に富む、味噌やキムチなどの発酵食品、免疫作用の強いキノコ類(特にマイタケ)をしっかり取り入れ、年末の暴飲病食シーズンに備えましょう。
腸の不調には便秘や下痢がありますが、これらを整えるツボとして、鳩尾と臍の中間点の「中脘」、臍から指3本分左右外方の「天枢」、臍の指4本分下の「関元」、左右天枢の指3本分下の「大巨」があります。ここにお灸したり、臍を中心にこれらのツボに「の」の字を描くように、優しく10回ほどマッサージする「腸もみ」もおすすめです。
今年の10月は天候不良以外にも、万博閉幕やら、ノーベル賞日本人2人受賞やら、ゴタゴタの政局の末初の女性総理大臣誕生やら、大谷活躍やら、鍼師的にはエレベーターの交換やら色々ありましたが、ショッキングだったのがクマの被害。ツキノワグマが臆病で人は襲わないという常識が覆され積極的に人を狩る個体も出現し10月末時点で被害者12名と過去最悪。調べてみると、それまで最大の被害者をだした2023年(被害者6名)には、9000頭以上のクマを捕殺しているそうなのに減らずに被害拡大とは、本当に怖い。海は子供のころ映画「ジョーズ」を観てから近づかないようにしてるけど、山はねぇ~。カミさんの実家も限界集落だし。先日、日光旅行を計画していたので一応警棒を常備して行きましたが、クマに出くわしても「俺が戦うから、お前は逃げろと」カミさんに言えなさそうな~(泣)。いやいや、鍼師の北斗神拳が火を噴きますから!あたたたたたー。人生の最後が猟奇的なものでありませんように願う今日この頃です。

