2025年08月

 7月5日午前4時18分、とうとう予言の大災害が…、起こりませんでしたが、それに先立つトカラ列島の群発地震やら、その後のインドネシアのレウォトビ火山噴火やら、不穏な雰囲気の漂う7月でした。大体、日時を限定した予言で、世間から注目されたものはまず当たらない、とは思っていましたが、万が一に備えて、カセットコンロのガスボンベをまとめ買いし、それを運ぶ際に4年ぶりのぎっくり腰を発症し、「鍼師の腰が大災害や~」と叫びつつ、久々にぎっくり時の辛さを味わい、患者さんにバレないよう装いつつ、スムーズな治し方の復習に勤しみました(転んでもタダでは起きん!)。急性の腰痛は、多くは筋膜や筋組織の損傷で、循環を促進し、疼痛緩和による過剰な緊張を除去したらスムーズに治りますが、深部の椎間関節の炎症だと少し時間がかかり、より長くかかるケースには、他の内臓疾患の反射痛や年配の方の腰椎の圧迫骨折などがあります。そのほか、痛みから損傷部近くの神経を圧迫し、神経自体が過敏化した坐骨神経痛などもあり、過敏状態の脱却まで時間がかかるケースもあります。さらに、本来はただの組織損傷だったものが、それが修復しているにもかかわらず、痛みに対する防御反射(痛い→傷口がある→傷口を広げないため固まっとけ→動作開始時に余計に痛む)が脳の勘違いで残ってしまい、脳の不安や緊張のリセットが必要なケースも少なからず見られ、苦痛が拗れて慢性化することが少なくなるよう願うばかりです。

 さて、7月早々に梅雨明けするかと思っていたら、結局関東は18日に梅雨明けとのことで、鍼師的には「雨も降ったりしたけど、梅雨の雨じゃないだろ」とか「梅雨は6月8日からの1週間だけだったな」とツッコミしつつ、猛暑の突入となりました。気温上昇時には首肩コリや頭痛など陽気の上昇による症状を呈した患者さんが多く、睡眠の質低下による疲労蓄積や冷房の影響か、鍼師以外にもギックリ腰が多い一か月でした。

 これから、暑さのピークを迎え、8月中旬までが最高に暑い酷暑だと思いますが、熱中症対策は先月の一言を参考にしつつ、不要不急の外出は控えるくらいが良いでしょう。徐々に暑さにも慣れてくるはずですが、次は長引く暑さ(2か月ほどか?)で、じわりじわりと心身消耗して夏バテになります。夏バテで影響を受けるのは、第一に消化器系で、はじめは、食欲はあるけど食後腹部が長く張るから、食欲不振に進み、下痢、胃に由来する下肢の外側がだるくなる、などが出てきます。さらに進むと、動悸や心臓の痛みといった循環器系(特に心臓)、倦怠感・無気力といった心身症状にも及びます。出来れば第一防衛線の消化器系で消耗を食い止めたいものです。

 で、胃の養生ですが、まずは、しっかり空腹時間を作る事が大事。特に夜寝る前の食事は控えることで胃は余裕を保てます。それでも暑さの影響で胃の運動不全になった場合、これに対するツボ療法としては、ファーストチョイスで「足三里」。胃酸過多気味の場合は「足三里」に代わって「陽陵泉(膝外側の大きな骨の下)」を、消化不良で下痢気味の場合には「百会」が有効です。漢方薬としては「六君子湯」。主成分の一つビタミンPが、「グレリン」というホルモンの分泌を促進し、食欲増進・運動能力アップにつながります。ちなみに、ビタミンPは構成生薬の「陳皮」に含まれますが、みかんの皮を天日で乾燥させたものなので家庭でもすぐ作れ陳皮茶なども良いかもです。ストレスが胃痛にきやすい人は、胃が知覚過敏になっています。これには少量(胸やけしない程度)の唐辛子(カプサイシン)を長期服用するのが有効です。胃痛がなくなるだけでなく、過敏性大腸炎にも効きます。

 さて、夏は、体内のこもった熱を取り除く「陰」の食べ物、いわゆるトマト、きゅうり、なす、といった夏野菜を身体が欲しますが、食べ過ぎは禁物。冷房の冷えと相まって、冷えや気怠さを感じたら生姜と一緒に摂るなど工夫しましょう。しかし、ニガウリ・セロリ・ピーマン・パセリ・グレープフルーツなどの苦みのある食材は、夏の「水毒」にたいする食養生としても、心臓を癒すためにも有効です。心臓やストレスに拠る心身疾患に対しては、「労宮(手のひらの真ん中)」や「郄門:ゲキモン(前腕内側のど真ん中)」のお灸やツボ指圧も試してみてくださいね。

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