昨年と違って穏やかに過ぎたお正月でしたが、鍼師は休みの3日間で3キロ増量の大ピンチ。普段食べないお餅と息子たちの食べっぷりに釣られての結果でしたが、「お母さん(妻)、この体重計壊れてるよ〜」と言ってしまう始末でした。
東京都心は12月から晴天が続き、気分の良い年明けとなりましたが、1月も雨天は極わずかで、乾燥は酷く、洗濯物は早くパリパリに乾くものの、皮膚は乾燥しすぎで掻痒症になる方も多いように思います。皮膚の状態は、綺麗好きほど荒れるのですが、痒くなって「汚れや垢は、こそげ落としてピッカピカだ〜」とゴシゴシ洗うのは実は逆効果なのです。肌に関してはその垢こそ大事。人体の表面を覆う角層は、死んだ細胞(=垢)といえる角質細胞でできていて、その角質細胞の間にが、 NMF(アミノ酸保湿成分)やセラミド(細胞間脂質)といった保湿に役立つ成分が、まるでセメントでレンガブロックを固定するかのように埋まっていてコーティング層となり、水分を逃さないようにするのです。この角質層は強くこすると24時間回復しません。風呂好きでも肌は軽く表層の油分を手で洗う程度で垢も大事な身体の一部と考えて、長年連れ添ったパートナーのように?入浴時は優し〜く、大事に扱ってあげましょう。内面から肌を助けてくれるものに、薏苡仁「ヨクイニン」という漢方薬(ハトムギ粉末)があり、これも有効です。ツボとしては、肩を水平の高さに外転して、肩の前にできる窪みに肩髃(けんぐう)というツボがあり、美肌のツボとしてお薦めです。
さて、その乾燥も作用してか、インフルエンザも新型コロナもその他の風邪もずいぶん流行りました(鍼師も新年久々に喉・鼻風邪をひいて痰がグズグズしました)。そろそろ落ち着いてきたのかなと思っていたら、今度は例年よりは温かかったためか、スギ花粉も飛び始め、憂鬱な花粉症の到来です。現代医学ではアレルギー治療として「減感作療法」があり、特にだんだん濃度を濃くした花粉エキスを舌下に垂らして慣らしていく「舌下免疫療法」が主流となっています。ただ、今治療を始めても来シーズンに効果が期待、というように地道な治療が必要です。東洋医学でも花粉症が悪化する体質「水毒(水滞)」を改善するという根本療法がありますが、これも即効性は無く、地道な治療は同様です。ということで、発症した花粉症には対症療法中心になります。効果的なツボ療法としては、メガネの鼻あてが当たる所にある「鼻通」というツボや正中線上で髪の生え際から1~2㎝入った所の「上星」というツボ、後は手の「合谷」があり、これらのツボをズーンと強めに押してパッと離すという刺激を5~10回与えるだけでも鼻水症状の軽減を期待できます。最近は、副鼻腔部分の鍼通電で鼻粘膜の過剰反応が消失したという報告もあり、効果のほどを検証中です。生理食塩水(0.9%の食塩を溶かした蒸留水)を使った鼻うがいも有効です。全然痛くないので試してみましょう。また、腸内環境の改善は、免疫機能の正常化・強化に繋がります。年末年始で食べ過ぎて、良くない食習慣を引きずっている方は、12月にも紹介した週一回の夕食断食で、胃腸をリセットし、絶好腸にもっていきましょう。