パリオリンピックでは日本人のメダルラッシュで獲得数世界3位となり、江戸川区の星・関東一高校が甲子園決勝で惜しくも破れるも熱戦を繰り広げ、残すはパラピンピックと、熱い夏が終わろうとしてます。熱い夏と共に暑い夏も終わればいいのに、先日ニュースで暑さは「10月まで」ではなく「10月も」と言っていて、マジか、と愕然としております。
7月後半から8月前半の暑さでピークは過ぎたかと思ったら、中盤以降にも2度目のピークが来たような感じで、その後も長引きそうな暑さは、じわりじわりと心身を消耗して夏バテに至りそうです。ゴールデンウィーク以上に長期の盆休みとなった方には、職場に戻っても、やる気が出ず、睡眠は浅く、食欲も減退、という人も居られたのではないでしょうか?
夏の高温下では、体温維持のために必要なエネルギーが少なくなり、基礎代謝が下がります。エネルギーが少なくて済むので、食欲が落ちて食べる量が減りますが、エネルギー量は問題ないものの、ビタミンやミネラルといった栄養素の必要量はそんなに変わらないため、栄養不足になります。さらに素麺などのあっさり食事を続けると、その傾向はさらに強まります。また、大量にかく汗の成分には、ビタミンB1やカルシウム、マグネシウムも含まれ、失われた栄養素を摂取していかなければなりません。土用の丑の日に鰻を食べる習慣は江戸時代に始まったものですが、ビタミンやミネラルを豊富に含む鰻は夏バテの食材として理に適っています。その他、アッサリとしながらも栄養補給になる「冷しゃぶ」などポン酢で食べるのもオススメです。肉に含まれるアルギニンは成長ホルモンの分泌を促進することで、体のダメージを回復する効果を高め、「活力」に関わる滋養強壮成分です。お酢の酸味が唾液や胃酸の消化酵素分泌を促し、含まれるクエン酸には乳酸を分解して疲労回復を高めたり、最近は肝臓の機能を高めて脂肪肝や肝癌発生を抑制する効果が盛んに研究されているようです。
食材と共に消化能力を維持するための胃の養生も大事です。まずは、しっかり空腹時間を作る事が大事で、特に夜寝る前の食事は控えることで胃は余裕を保てます。特に夕食と朝食の間を8時間以上空けると腸の大蠕動を促し、胃の機能不全を防げます。それでも暑さの影響で胃の運動不全になった場合、これに対するツボ療法としては、ファーストチョイスで「足三里」。胃酸過多気味の場合は「足三里」に代わって「陽陵泉(膝外側の大きな骨の下)」を、消化不良で下痢気味の場合には「百会」が有効です。漢方薬としては「六君子湯」。主成分の一つビタミンPが、「グレリン」というホルモンの分泌を促進し、食欲増進・運動能力アップにつながります。ストレスが胃痛にきやすい人は、胃が知覚過敏になっています。これには少量(胸やけしない程度)の唐辛子(カプサイシン)を長期服用するのが有効です。胃痛がなくなるだけでなく、過敏性大腸炎にも効きます。
今年は8月から台風が日本列島に上陸していますが、本来は9月が最も多く台風が上陸する季節です。台風による急激な気圧の低下では、喘息患者が急増しますし、うちの患者さんでも、赤道直下で台風が発生したと同時に息苦しさが出るという、ご本人的には大変有難くない、台風発生検知器のような能力?を持った方がおられます。台風と共に体調不良になる方は、呼吸器が弱い体質(もしくは状態)であると自覚して、関連が深い秋を見据えて準備しましょう。
本格的に秋の気配を感じ始めると、空気が急速に乾燥してきて、夏の多湿からすると体感的には心地よくなるものの、防衛を司る呼吸器系統(呼吸器・皮膚・粘膜)に直接影響が出て、鼻汁・鼻閉・喉の痛みを中心とする風邪も増え、また肌も乾燥して荒れ易くなり、腸の粘膜が乾燥して便秘になることもあります。首から肩甲骨内縁という肺に関係の深い領域にお灸の温熱刺激や乾布摩擦など、皮膚の刺激を通じて免疫力の強化を図り、肺系強化のツボ刺激として、中府(ちゅうふ:鎖骨外端の下・陥凹部の下3センチ位)や母指や人差し指の刺激を試みてください。
先日帰省した京都でジャガイモを沢山もらってきたら、どこかにヤモリが潜んでいたようで、妻と次男はキャーキャーと大騒ぎ。鍼師はヤモリは比較的好きなので、手づかみしたら、何を思ったか次男が飼うと言い出し飼うことに。島忠ホームズで買ってきたコオロギの生き餌を脅威の捕食でパクツク様を皆でジーと眺め、しばしの空腹でこやつの胃の養生は万全のはずやなぁと思う鍼師でした。