2024年8月

 7月は、前半に気温が35℃に達し、やはり昨年より暑いなと。中旬梅雨らしい天候不良で気温が少し落ち着いたものの、後半は一気に暑くなり葛西近辺では初の38℃を記録しました(死ぬ)。26日からパリ・オリンピックも始まりましたが、地球の裏側でリアルでは深夜放送。8年前のリオ・オリンピックは睡眠削って応援しましたが、今大会は体力気力の限界を感じ、朝結果を確認する毎日です(無理)。

 先日、往診先で急に足がむくんだ方がおられて、夏場には、特に高齢の方で、数時間から数日という短期間に急速に足がパンパンに浮腫むケースがあります。これは急性腎不全で、腎臓への血流が減少し老廃物がろ過されずに体に蓄積して腎炎を起こし、糸球体自体が傷付くことで腎臓の機能が低下し引き起こされます。腎臓への血流低下の一番の原因は脱水。だから夏場多いのです。血圧がそんなに高くないのに降圧剤を飲んでて低血圧になったり、頭痛等でロキソニンなどの非ステロイド系の消炎鎮痛剤を多用している人はさらにリスクば上がるので要注意です。とにかくマメな水分補給を心がけましょう。ちなみに、大量の汗に塩分などの電解質補給を怠ると、血中の塩分濃度を下げない反応として体が水分を拒否することがあります。自発的脱水といいますが、これも気をつけましょう。

 腎臓に関しては、最近、フィットネスクラブでプロテインを摂取していて腎機能を損なうケースが報告されています(うちの患者さんにも一人)。腎不全の人が塩分とたんぱく質の摂取を制限することは常識となっていますが、逆に高齢者は低糖質・高タンパクが不老長生に良いという研究もあり、はてさて?現在のところ、吸収率の良すぎるプロテインが腎臓のろ過機能を超えて一気に腎臓に到達するから害なのでは?などと推測されていますので、たんぱく質は肉・魚・卵・大豆といった食品で摂るのが無難なようですね。

 さて、今年もすでにエアコンなし室内熱中症死亡のニュースが入ってきてますが、体力がなく、暑さに鈍感な高齢者はエアコンを活用すべきでしょう(嫌いな方も多々おられるとは思いますが)。特に熱帯夜が続く暑い季節は、脳をクールダウンしてから眠るのがおすすめです。やり方としては、部屋を涼しくして鼻で腹式呼吸です。脳の自律神経の中枢はちょうど鼻腔の上にあるため、鼻呼吸によって自律神経中枢が冷やされることで自律神経機能が回復し、また、吸う息の倍時間をかけて息を吐くようにすると副交感神経優位になり睡眠の質の向上につながります。

 ただ、エアコンの影響を受けすぎるのも問題です。夏はもともと体内熱を放出出来るように皮膚の毛穴が開きがちで、寒さに対しては無防備で、冷房によりストーンと深部に冷えが進行してしまいます。

 冷えが進行するとどうなるのか?まず、末梢循環の血行不良(東洋医学では「血虚」や「瘀血」)を引き起こし様々な神経・関節などの痛みの元になります。また余分な水分の停滞(東洋医学では「水毒」と呼びます)を引き起こし、頭痛・肩こり・腰痛・生理痛等が慢性化します。冷えが胃腸機能に及ぶと消化不良・慢性的な下痢・意欲の低下もおこります。冷えがちで低体温化した身体が常態化すると免疫機能低下からガンにもなりやすくなります。さらに、深く進行した冷え性には、身体を温める陽気と身体を沈静化する陰気分離を引き起こし、(冷え)のぼせ・ほてりといった症状を呈するものもあります。赤ら顔でいつも顔に汗をかいてハンカチ・タオルが手放せない人、この状態が長期化すると、クモ膜下出血、脳溢血、心筋梗塞などに襲われます。まさに冷えは万病の元ですね。人間は頭が熱いと全身が熱いと錯覚してしまう生き物ですが、お腹や足の温度を手で確認すると、結構冷えていることがあります。きちんと確認して冷え過ぎによる内臓や自律神経の機能低下を防ぎましょう。

 どうしても職場環境等で冷える場所から逃れられない人は、「夏から始める冷え性対策」です。日常生活では、第一に下半身浴+「三陰交」のツボ刺激を1分間。第二に「水毒」に対する食養生。ニガウリ・セロリ・ピーマン・グレープフルーツなど苦みのある食材で、身体の余分な水分を取り去るです。さらに積極的な対策としては、末梢循環を鍛えておく方法です。①冷たい水と熱いお湯を1分毎に交互に7回繰り返す「冷温浴」と②仰向けに寝て手足を垂直に上に挙げて2分間ブラブラさせる毛管運動(ゴキブリ運動)は効果的です。3ヶ月頑張ると体質が変わります。

 冷温浴ではないですが、先日、京都の義父の付き添いで、京都下鴨神社御手洗祭(みたらしまつり)という、御手洗池に素足を浸け、献灯して無病息災を祈る、という行事に参加してきました。京都のまとわりつくような熱い空気と池に浸かる人の多さから、さぞ温いんだろうと足をつけると、「つっ、冷た〜」と予想に反して冷たく頭も冴えました。行事を終え足を拭いてしばらくジーンと血が巡って心地よい。なかなかの体験でした。お義父さん(92歳)もまた一年無病息災だと思ってると、妻(長女)と義妹(次女)が「元気で死ぬときはポックリやで」「そうやポックリポックリ」と笑いながら死を強調する。それにつられて義父も笑う。「お義父さん、そこ一緒に笑うとこなんですか?」と微妙に思う鍼師でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP