2025年02月

昨年と違って穏やかに過ぎたお正月でしたが、鍼師は休みの3日間で3キロ増量の大ピンチ。普段食べないお餅と息子たちの食べっぷりに釣られての結果でしたが、「お母さん(妻)、この体重計壊れてるよ〜」と言ってしまう始末でした。

東京都心は12月から晴天が続き、気分の良い年明けとなりましたが、1月も雨天は極わずかで、乾燥は酷く、洗濯物は早くパリパリに乾くものの、皮膚は乾燥しすぎで掻痒症になる方も多いように思います。皮膚の状態は、綺麗好きほど荒れるのですが、痒くなって「汚れや垢は、こそげ落としてピッカピカだ〜」とゴシゴシ洗うのは実は逆効果なのです。肌に関してはその垢こそ大事。人体の表面を覆う角層は、死んだ細胞(=垢)といえる角質細胞でできていて、その角質細胞の間にが、 NMF(アミノ酸保湿成分)やセラミド(細胞間脂質)といった保湿に役立つ成分が、まるでセメントでレンガブロックを固定するかのように埋まっていてコーティング層となり、水分を逃さないようにするのです。この角質層は強くこすると24時間回復しません。風呂好きでも肌は軽く表層の油分を手で洗う程度で垢も大事な身体の一部と考えて、長年連れ添ったパートナーのように?入浴時は優し〜く、大事に扱ってあげましょう。内面から肌を助けてくれるものに、薏苡仁「ヨクイニン」という漢方薬(ハトムギ粉末)があり、これも有効です。ツボとしては、肩を水平の高さに外転して、肩の前にできる窪みに肩髃(けんぐう)というツボがあり、美肌のツボとしてお薦めです。

さて、その乾燥も作用してか、インフルエンザも新型コロナもその他の風邪もずいぶん流行りました(鍼師も新年久々に喉・鼻風邪をひいて痰がグズグズしました)。そろそろ落ち着いてきたのかなと思っていたら、今度は例年よりは温かかったためか、スギ花粉も飛び始め、憂鬱な花粉症の到来です。現代医学ではアレルギー治療として「減感作療法」があり、特にだんだん濃度を濃くした花粉エキスを舌下に垂らして慣らしていく「舌下免疫療法」が主流となっています。ただ、今治療を始めても来シーズンに効果が期待、というように地道な治療が必要です。東洋医学でも花粉症が悪化する体質「水毒(水滞)」を改善するという根本療法がありますが、これも即効性は無く、地道な治療は同様です。ということで、発症した花粉症には対症療法中心になります。効果的なツボ療法としては、メガネの鼻あてが当たる所にある「鼻通」というツボや正中線上で髪の生え際から1~2㎝入った所の「上星」というツボ、後は手の「合谷」があり、これらのツボをズーンと強めに押してパッと離すという刺激を5~10回与えるだけでも鼻水症状の軽減を期待できます。最近は、副鼻腔部分の鍼通電で鼻粘膜の過剰反応が消失したという報告もあり、効果のほどを検証中です。生理食塩水(0.9%の食塩を溶かした蒸留水)を使った鼻うがいも有効です。全然痛くないので試してみましょう。また、腸内環境の改善は、免疫機能の正常化・強化に繋がります。年末年始で食べ過ぎて、良くない食習慣を引きずっている方は、12月にも紹介した週一回の夕食断食で、胃腸をリセットし、絶好腸にもっていきましょう。

2024年7月

 6月はお隣の浦安で8年ぶりの浦安三社祭が行われて、鍼師は見に行けずシクシクでしたが大盛況だったようです。「マエダ、マエダ」と前に進まぬ神輿を担いで、漁師町の祭り命の方々は燃え尽きてるんだろうなと思っていたら、その後コロナも大流行したそうで、燃え尽きにコロナはキツイぞ、と心配しております。

 さて、例年、春の陽気の影響による自律神経失調を5月の穏やかな気候で調整するところが、今年は4月後半から雨天も多く、自律神経失調を引きずったり、梅雨時期の神経痛・関節痛が前倒ししていたりと、6月も体調不良の方が多くおられました。実際の梅雨入りは、関東甲信越で6月21日と記録的に遅くなりましたが、どうも7月は梅雨らしい天気が続くこともなく、湿度だけは上昇して不快指数はマックスになり、早々に梅雨明けして夏に突入しそうです。やれやれ。

 夏と言えば、「熱中症」と「冷房病」ですが、先日は、東京消防庁管内で33人も熱中症で救急搬送されたようで、今月は熱中症について。

 急激に気温が上昇すると発生する熱中症。人間の自律神経は暑さに対しては対応力がかなり劣り、対応出来る温度差も8℃までで、それ以上になると四肢の脱力・めまいといった軽度熱中症の原因になります。さらに狂った自律神経のため体温調節が出来ないと急激に体温上昇を起こし、めまい・四肢の痙攣・吐き気といった中度熱中症になり、最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になります。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンク少しずつ摂取することです。それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)にし、直ちに救急車です。

 予防としては、

  1. 汗腺を鍛えて夏モードにする。(10日間毎日、大量の汗をかくことで、体温が上昇すると同時に、全身からダッと汗をかき、熱放散してスッと汗が引くエクリン腺中心の発汗の獲得が出来ます。)
  2. 適切に水分補給をし、脱水に気をつける。(一度の水分補給は口に含む程度にし、20~30分毎にこまめに摂取するのが理想です。高齢になると、喉が渇くという感覚が鈍くなってきますので、特に注意です。)
  3. 睡眠不足は、発症リスクを上げるので寝不足注意です。

また、先月も触れましたが、体内の水分調節機能を整える「五苓散」という漢方薬は、熱中症の治療・予防、さらに温泉の湯当り等にも使えて便利です。

7月は、後半からオリンピック・パリ2024が開催と楽しみなイベントもありますが、前半は東京都知事選挙。立候補者56人というお祭り状況に、昨今のモラル低下を感じたり、56人もいるのに「この人に託したい」という人がいなくて、なんだかなぁ〜と嘆息する鍼師でした。

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