5月27日9時半ごろ、大爆音と振動が~。巨大落雷?北朝鮮のミサイルか~?と大騒動でした。新築マンション建設のためのボーリング作業中のガスボンベ爆発とか。自宅からはすぐ近くでしたが、幸い被害はなく、気遣って連絡くださった皆様には御礼申し上げます。しかし、世の中何が起こるか分かりません。普通に生活できることの有難さをヒシヒシ感じる今日この頃です。
さて、大して爽やかでなかった5月を終え、6月は梅雨に入りますが、多湿のため、身体に水分が停滞し、熱が放散しにくくなります。体感的には、ジッとしていると寒いのに、少し動くと暑い感じです。この停滞した水分は、朝に顔をむくませ、夕方には重力で下がって足に靴下の後をガッツリ付けます。東洋医学で言う「水毒」の状態です。これに梅雨寒や気圧の低下が加わると、関節痛や神経痛・古傷痛が目立つようになります。これは急激な気圧の低下で体液成分が変化することと、冷えにより体表の血管壁が収縮し、痛みの受容器を刺激することによって引き起こされる痛みで「気痛」と呼ばれます。応急的には温めることが一番です。また、湿気は消化系統である「脾」に影響が出ると、吸収力も蠕動運動も低下し、お腹が張ってもたれ気味。尿も大便もすっきり出なくて急に下痢・腹痛を起こすこともあります。
これらの状態には、まず水分の摂取管理。特に血液ドロドロの対策意識が強過ぎる方は、この時期水の摂り過ぎが目立ちます。水分を摂るタイミングは「のどの渇き」だと思いますが、水分の摂り方は、冷たいものをガーっと飲むのは駄目です。少ない量から出来るだけ常温以上で口に含み、唾液を混ぜてゆっくり飲みます。実は、のどの渇きを止めるのは、水ではなくて唾液です。唾液は自前で作れる最高の胃腸薬とも言われ、炭水化物の消化はもちろん、殺菌作用で虫歯や歯槽膿漏の予防にもなり、胃酸の中和により逆流性食道炎の予防にもなります。そして、のどの渇きを抑えることで、水分の摂り過ぎを抑制します。噛む事でよく出るようになるので、食事では一口30回を目標に、よく噛む習慣を身につけましょう。当然消化も助けます。
多湿以外でも身体から水が抜けにくくなる要素は塩と砂糖。入院した時に不味いと感じる病院食は減塩をしていて味が薄くなっているためですが、入院中に余分な水分が抜ける経験をする方が一定数居られます。
塩分より問題なのが糖分。甘いものを摂りすぎると使われない過剰栄養素が溜まり、水と絡んで「湿」となり、淀みや滞りの原因となります。滞りが続くとなんとかそれを解消するためにその局所に熱が発生します。これが湿熱です。関節炎や皮膚炎にもつながります。
次に、発汗。運動が苦手な方は下半身浴などで汗を出しましょう。体温調節に良い発汗とは、体温が上昇すると同時に、全身からサラッとした汗をかき、熱を放散させるとスッと汗が引いて汗腺が閉まる、エクリン腺中心の発汗です。アポクリン腺中心だと、ベタッとした汗が汗腺を塞ぎ、熱も放散せず、体力も消耗します。良い発汗法は、1〜2週間毎日、大量の汗をかくことで獲得できます。初めは体力消耗を感じるかと思いますが、夏に向けて熱中症になりにくい質の良い汗をかけるよう頑張りましょう。
ツボ療法としては、先月書いた「足三里」「中脘」「少海」の刺激を継続し、食養生としては、利尿作用を高め水分代謝を改善するハトムギ、小豆、緑豆。脾胃を温めて、発汗を促すショウガ、ネギ、花椒が有効です。また、漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除く作用があり、熱中症で多用する五苓散(ごれいさん)も水分代謝改善で効果的なので、持っておいて損は無いでしょう。