2025年06月

 5月27日9時半ごろ、大爆音と振動が~。巨大落雷?北朝鮮のミサイルか~?と大騒動でした。新築マンション建設のためのボーリング作業中のガスボンベ爆発とか。自宅からはすぐ近くでしたが、幸い被害はなく、気遣って連絡くださった皆様には御礼申し上げます。しかし、世の中何が起こるか分かりません。普通に生活できることの有難さをヒシヒシ感じる今日この頃です。

 さて、大して爽やかでなかった5月を終え、6月は梅雨に入りますが、多湿のため、身体に水分が停滞し、熱が放散しにくくなります。体感的には、ジッとしていると寒いのに、少し動くと暑い感じです。この停滞した水分は、朝に顔をむくませ、夕方には重力で下がって足に靴下の後をガッツリ付けます。東洋医学で言う「水毒」の状態です。これに梅雨寒や気圧の低下が加わると、関節痛や神経痛・古傷痛が目立つようになります。これは急激な気圧の低下で体液成分が変化することと、冷えにより体表の血管壁が収縮し、痛みの受容器を刺激することによって引き起こされる痛みで「気痛」と呼ばれます。応急的には温めることが一番です。また、湿気は消化系統である「」に影響が出ると、吸収力も蠕動運動も低下し、お腹が張ってもたれ気味。尿も大便もすっきり出なくて急に下痢・腹痛を起こすこともあります。

 これらの状態には、まず水分の摂取管理。特に血液ドロドロの対策意識が強過ぎる方は、この時期水の摂り過ぎが目立ちます。水分を摂るタイミングは「のどの渇き」だと思いますが、水分の摂り方は、冷たいものをガーっと飲むのは駄目です。少ない量から出来るだけ常温以上で口に含み、唾液を混ぜてゆっくり飲みます。実は、のどの渇きを止めるのは、水ではなくて唾液です。唾液は自前で作れる最高の胃腸薬とも言われ、炭水化物の消化はもちろん、殺菌作用で虫歯や歯槽膿漏の予防にもなり、胃酸の中和により逆流性食道炎の予防にもなります。そして、のどの渇きを抑えることで、水分の摂り過ぎを抑制します。噛む事でよく出るようになるので、食事では一口30回を目標に、よく噛む習慣を身につけましょう。当然消化も助けます。

多湿以外でも身体から水が抜けにくくなる要素塩と砂糖。入院した時に不味いと感じる病院食は減塩をしていて味が薄くなっているためですが、入院中に余分な水分が抜ける経験をする方が一定数居られます。

塩分より問題なのが糖分。甘いものを摂りすぎると使われない過剰栄養素が溜まり、水と絡んで「湿」となり、淀みや滞りの原因となります。滞りが続くとなんとかそれを解消するためにその局所に熱が発生します。これが湿熱です。関節炎や皮膚炎にもつながります。

 次に、発汗。運動が苦手な方は下半身浴などで汗を出しましょう。体温調節に良い発汗とは、体温が上昇すると同時に、全身からサラッとした汗をかき、熱を放散させるとスッと汗が引いて汗腺が閉まる、エクリン腺中心の発汗です。アポクリン腺中心だと、ベタッとした汗が汗腺を塞ぎ、熱も放散せず、体力も消耗します。良い発汗法は、1〜2週間毎日、大量の汗をかくことで獲得できます。初めは体力消耗を感じるかと思いますが、に向けて熱中症になりにくい質の良い汗をかけるよう頑張りましょう。

 ツボ療法としては、先月書いた「足三里」「中脘」「少海」の刺激を継続し、食養生としては、利尿作用を高め水分代謝を改善するハトムギ、小豆、緑豆。脾胃を温めて、発汗を促すショウガ、ネギ、花椒が有効です。また、漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除く作用があり、熱中症で多用する五苓散(ごれいさん)も水分代謝改善で効果的なので、持っておいて損は無いでしょう。

2024年7月

 6月はお隣の浦安で8年ぶりの浦安三社祭が行われて、鍼師は見に行けずシクシクでしたが大盛況だったようです。「マエダ、マエダ」と前に進まぬ神輿を担いで、漁師町の祭り命の方々は燃え尽きてるんだろうなと思っていたら、その後コロナも大流行したそうで、燃え尽きにコロナはキツイぞ、と心配しております。

 さて、例年、春の陽気の影響による自律神経失調を5月の穏やかな気候で調整するところが、今年は4月後半から雨天も多く、自律神経失調を引きずったり、梅雨時期の神経痛・関節痛が前倒ししていたりと、6月も体調不良の方が多くおられました。実際の梅雨入りは、関東甲信越で6月21日と記録的に遅くなりましたが、どうも7月は梅雨らしい天気が続くこともなく、湿度だけは上昇して不快指数はマックスになり、早々に梅雨明けして夏に突入しそうです。やれやれ。

 夏と言えば、「熱中症」と「冷房病」ですが、先日は、東京消防庁管内で33人も熱中症で救急搬送されたようで、今月は熱中症について。

 急激に気温が上昇すると発生する熱中症。人間の自律神経は暑さに対しては対応力がかなり劣り、対応出来る温度差も8℃までで、それ以上になると四肢の脱力・めまいといった軽度熱中症の原因になります。さらに狂った自律神経のため体温調節が出来ないと急激に体温上昇を起こし、めまい・四肢の痙攣・吐き気といった中度熱中症になり、最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になります。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンク少しずつ摂取することです。それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)にし、直ちに救急車です。

 予防としては、

  1. 汗腺を鍛えて夏モードにする。(10日間毎日、大量の汗をかくことで、体温が上昇すると同時に、全身からダッと汗をかき、熱放散してスッと汗が引くエクリン腺中心の発汗の獲得が出来ます。)
  2. 適切に水分補給をし、脱水に気をつける。(一度の水分補給は口に含む程度にし、20~30分毎にこまめに摂取するのが理想です。高齢になると、喉が渇くという感覚が鈍くなってきますので、特に注意です。)
  3. 睡眠不足は、発症リスクを上げるので寝不足注意です。

また、先月も触れましたが、体内の水分調節機能を整える「五苓散」という漢方薬は、熱中症の治療・予防、さらに温泉の湯当り等にも使えて便利です。

7月は、後半からオリンピック・パリ2024が開催と楽しみなイベントもありますが、前半は東京都知事選挙。立候補者56人というお祭り状況に、昨今のモラル低下を感じたり、56人もいるのに「この人に託したい」という人がいなくて、なんだかなぁ〜と嘆息する鍼師でした。

PAGE TOP