2026年07月

 5月末は全国で2か所ほど猛暑日を記録する日もあり、連日の真夏日に6月がどうなることかと危惧しましたが、割と梅雨らしい気候となり、天候不順ながら比較的気温の低い日もありと、早々の夏バテを回避できたような気がしました。ただ、6月の一言通り梅雨の多湿と気圧変動による不調は多く見られました。梅雨明けは例年通り7月中旬になりそうです。先日熱波が襲ったフランスでは気温44.3℃に達したとのニュースが入りましたが、4月に気象庁が正式な予報用語として酷暑日(40℃)を新設したように、日本でも酷暑日が珍しくなくなるかもしれません。

 さて、これからは、熱中症冷房病が要注意です。脱水にはまめな水分補給を心がけていただくとして、冷房病は人の快適志向に乗じてじわりじわりと忍び寄ってきます。特に冷えた身体で急に30度をこえる温度の場所に移動する場合は身体に急激で大きなダメージを与えます。もともと人間が対応できる急激な温度差は8度までで、これを超えると自律神経機能著しく失調します。当院でも治療室では快適に治療を受けていただくため、程よく温度・湿度を下げていますが、待合室は少し室温高め、さらに熱いお茶で体温を上げて、外に出ていただくようにしています。皆さんも炎天下に外出せざるを得ない時は、前もって空調を切って、身体を慣らしてから、外出するようにしましょう。

 熱中症は軽度では、四肢の脱力・めまいとなりますが、中度になると、狂った自律神経のため体温調節が出来なくなり急激に体温上昇を起こして、酷いめまい・四肢の痙攣・吐き気といった症状が出ます。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンクを少しずつ摂取することです。最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になるので、直ちに救急車です。

 それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)ようにします。中国医学では、熱中症にしても冷房病にしても、病因的には、陽気(特に消化系統を中心とした中焦の陽気)が消耗することで発症すると考えます。これには、中焦の中心である臍周囲や回復力を高める腰の腎兪・命門といったツボをじっくり温め補うことでより早く回復してきます。中国・明の熊宗立によって著された『医書大全』(1446年刊)という書には、夏の旅の途中、熱中症で倒れた人に、臍の周りに熱せられた土を盛って、そこにオシッコをかけて温めなさいと記されています。現代はUSBカイロが便利かもしれませんね。

 先月、水分代謝能力を高め、熱中症などの予防で使う漢方薬として「防已黄耆湯」「五苓散」が良いと書きましたが、冷房病に対しては、全身の水はけと下半身の冷えを温める「苓姜朮甘湯」で冷房病の9割は治るとする漢方大家の講義録の記述もあり、この時期に揃える漢方薬として良さそうです。

 もう一点、夏に発症しやすい病気(特に男性)に痛風について。現在の研究では、痛風発症の原因は、第一に内蔵脂肪。これは内蔵脂肪に含まれる肥満細胞が尿酸の元となるプリン体をたくさん作り出すように働きかけるからです。第二に運動不足。これは血中の尿酸が、下肢末端などに濃度を高め、結晶化するためです。以前当院の患者さんで、会社の定年前は夜の会食が多く尿酸値がかなり高めだった方が朝せっせとウォーキングに励んでいたものの、退職後会食が減り尿酸値がかなり下がったのに安心してウォーキングを止めたところ、一週間で通風を発症したことを聞きました。最後に脱水。これは全体的に尿酸の血中濃度を高めるからです。よくプリン体を多く含む飲料と指摘されるビールは、実はプリン体の含有量よりアルコールとしての脱水作用(アルコールは肝臓で分解処理に余計に水分を使う)が問題であるのです。痛風予備軍には特に水分補給です。当然ビールは水分補給にはなりません。また痛風には、尿がアルカリ化すると尿酸が溶け込んで排出されるため、ナトリウム、カリウム、カルシウムを多く含む食品、ワカメ、ひじき、干し椎茸などを多く摂るのも効果的です。Meijiから発売されているプロビオヨーグルトPA-3も乳酸菌PA-3株がプリン体を取り込んで腸管からの吸収するのを阻害するようで、有効なようですよ。

 FIFAワールドカップ26では日本代表が大活躍中です。主力選手の故障が相次ぎ、どうなることかと思いましたが、順調に勝ち点を重ねて1stステージを突破しました。決勝トーナメントでも熱狂して盛り上がりたいものですね。熱狂といえば日経平均株価が7万円を超えました。半導体関連株の異常な上昇によるもので、長年株式の時価総額1位を堅持してきたトヨタをキオクシアが抜いたとのこと。原発事業の失敗でキオクシアの前身となる半導体部門を売り払わざるを得なかった東芝は涙目でしょうが、株価というのは上昇より急落が顕著です。株式投資をしておられる方は気を付けて注視していただきたいですね。株を一切保有していない鍼師は、自宅で飼っていたヤモリが卵を産んで熱狂しており、逆に妻がしきりに「気持ち悪い」を連発していましたが、可愛いやん。ちなみに最近ゴリラに熱中している妻は、上野動物園のゴリラ「ハオコ」に「シルバーバック、恰好ええわぁ」と「どこが?」。感性の合わない夫婦の日常でした。

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