春というべきなのか?4月は初旬の寒さから中下旬の暑さ、朝晩と昼の日格差も大きく、春に三日の晴れなしの如く、天気も気圧も不安定で変化の激しい一月でした。後半は妙に湿度も上がり、もう梅雨か?という日もあり、胃腸の不調を訴える人も見られました。本来は梅雨時期の対策ですが、胃腸に自信のない人には、食事を6時間以内に収めて残り18時間をプチ断食する食事制限でリセットです。加えて足三里や中脘(胸骨下端と臍の中央)、少海(肘を曲げてできる横じわの内側の端)の刺激が有効です。
さて、皆さん有酸素運動(ウォーキングなど)は進んでますか?鍼師の妻は毎日セッセとウォーキングが一年続き、先日の血液検査で百点満点貰って得意げで、反面鍼師は、運動大事と口舌を並べながら、自分のことは棚上げするという体たらくで、年上妻より早死にしそうで、オラが居なくなって苦労すればいい(泣)、と悪態ついております。
さて、今月は先月の運動の続き、筋トレについて。筋肉は20歳代をピークに筋力及び筋量が低下しはじめ(年1%程度)、特に50歳代を超えると年々低下の割合が増加していきます。高齢になり低下した筋肉量がピークから40%低下すると何が起こるか?歩行速度の低下やバランス感覚の悪化により、転倒しやすくなり、スカスカになった骨(骨粗しょう症)や硬くなった骨(コラーゲンが抜けて弾力を失う)で体を支えきれず骨折します(特に大腿と手首)。骨折から寝たきりになり、どんどん筋力が落ちるのはご存じのとおりで、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)と診断され、フレイル(虚弱)が進行し、介護なしでは生活ができなくなります。さらに筋肉のエネルギー消費が少なくなって肥満になり、インスリン抵抗性が高まり2型糖尿病のリスクも上がります。免疫が低下して感染症にかかり易く回復しにくくなり、外出の機会が減り社会的孤立でうつ状態にも。脳の海馬や前頭前皮質は運動をしないと神経伝達物質が増えず、意識レベルも低下しやすく、認知機能の低下にもつながります。全くいいこと無しですが、これが目の前にある現実で、努力で回避できる未来でもあります。生涯現役を目指して維持すべき動作能力はこちらを参考に。今まだ、気力・体力があるうちが勝負です。
ということで、加齢とともに減少していく筋肉量は、その大部分が速筋(白筋)で、筋トレ(無酸素運動)で増やせます。増加の過程は、短時間の筋肉の負荷→筋繊維のダメージ→休息による筋繊維修復→修復時に筋繊維の増加と筋細胞のボリュームアップという超回復理論で説明されます。ちなみに次の点は特に若い方の筋トレの注意点として指摘しておきたいですが、効率的な筋トレ(筋肥大の最大化)は、筋疲労をしっかり抜くこと。2~3日の休息がベストなので、週2~3回が良いでしょう。十分な休息期間を設けずに筋トレを続けると、筋繊維での修復が間に合わず、結合組織(主にコラーゲン)で修復されてしまいます。これを線維化と言い、柔らかい筋繊維と違い柔軟性がないため、筋肉は固くなり、故障もしやすくなります。また、運動フォームとして、狭い関節可動域で高負荷トレーニングを続けると、筋肥大はおこるものの筋繊維は短くなり、関節可動域は狭く(関節が固い)なります。最大限の関節可動域でトレーニングをするよう心がけましょう。さらに筋トレ後に静的ストレッチ(関節を引き延ばして停止)を行うことも必要です。ストレッチを行うことで、筋繊維への血流が増加し、修復が促進され、筋疲労の原因物質である乳酸の排泄が促されます。さらに副交感神経が優位となり、精神的にもリラックスできます。また、筋肉の原料は、摂取する栄養素が必要となりますが、たんぱく質と糖質を「運動後30分以内」に摂取するのが最も効果的とされています。これは「ゴールデンタイム」とも呼ばれ、筋肉の合成が活発になる時間帯となっています。
高齢者が自立して生活するために必要な筋肉量は、「若年時の筋肉量の70〜80%」がひとつの目安とされています。特に重要なのは体幹筋肉(腹筋・背筋)、臀部筋肉(お尻)、下肢筋肉(太もも、ふくらはぎ)です。
生涯現役を目指す簡単トレーニングメニュー(はこちら)を挙げておきました。参考にしてください。
最後に、やらなければいけないことは、大体皆さんわかっているけど、なかなかスイッチが入らないもの。今回の一言(どこが一言やねん)をきっかけにして、先月のウォーキングとともに筋トレを始めていただければ幸いです。筋肉量は簡単には増えませんが万物の生長の時期であるこれから3ヶ月間が鍛え直すのに最適です。1年間を俯瞰してみると、ここで作りあげた筋力・体力が、その後の季節を乗り切れるかの基盤ともなります。
鍼師も、生涯現役のために「筋肉は正義だ~!!」。という主張を掲げて次の参議院選を戦います(ウソ)。

