最近、鍼灸やツボ関係の特集番組がいくつか放映されました(教えてくださった患者さんありがとう)。施術を受けた患者さんが体験的に効果を実感するのとは違って、数値や画像なので効果を客観的に説明できるのは良いことです。鍼師が一番やりにくい猜疑心の強い患者は「妻」ですが、録った動画をさりげなく流して理解を促す日々が続いております(笑)。
さて、自律神経が乱れる春の時期から、本来調整期間となるはずの5月の良い季節がちょっと微妙で、様々な不定愁訴が尾を引いたり、梅雨の前倒し的に神経痛を発症する方とかが多く見られた一月でした。
6月は梅雨入りですが、多湿のため、身体に水分が停滞し、熱が放散しにくく、「ジッとしていると寒いのに、動くと暑く」感じます。これに、梅雨寒や気圧の低下が加わると、関節痛や神経痛・古傷痛が目立つようになります。これは急激な気圧の低下で体液成分が変化することと、冷えにより体表の血管壁が収縮し、痛みの受容器を刺激することによって引き起こされる痛みで「気痛」と呼ばれます。応急的には温めることが一番です。
また、湿気は消化系統である「脾」に影響すると先月も書きましたが、吸収力も蠕動運動も低下し、お腹が張ってもたれ気味。尿も大便もすっきり出なくて急に下痢・腹痛を起こすこともあります。また、東洋医学の心身相関では、脾が弱ると心の変動は「思」に繋がります。「ハッと気づくと同じことばかり考えている」と、思考のループにはまり、思い悩んでどんどんネガティブになっていくという鬱まっしぐらです。東洋医学の原典「素問」には「思」の感情は「怒」で抑制できると記されていますが、伴侶が鬱っぽい時はわざと怒らせてみる?のも良いのかもしれません。鍼師の妻は気付いたら「怒」ってる気がしますが…。(鍼師が悪い?)
ともかく、消化器系統「脾」の強化には、ツボ療法としては、先月書いた「足三里」「中月完」「少海」の刺激を継続し、漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除く作用があり、熱中症で多用する五苓散(ごれいさん)も水分代謝改善で効果的なので、持っておきましょう。その他、汗をかく機会を増やし、夏バテしない質の良い汗をかけるように準備もしておきたいですね。
食養生としては、利尿作用を高め水分代謝を改善するハトムギ、小豆、緑豆。脾胃を温めて、発汗を促すショウガ、ネギ、花椒が有効です。また、食べ方として、普段は胃に優しい暖かくて消化の良い食事を心がけて胃を休め、、何日かおきにエネルギー効率の良い、精の付く食べ物(鰻や焼き肉など)を食べるというのも良しです。鰻にはビタミンBやミネラルも豊富に含まれています。「アレ食べたいコレ食べたい」の食欲は「アレやろうコレやろう」の意欲に通じるので、食欲を落とさず、美味しい食事が継続できるよう養生しましょう。
先日、ある患者さんからオススメの鉄火丼専門店を教えていただき、家族で行ってきました。美味しかった。その方から、「奥様のご機嫌とりにいいですよ」と言われ、「え〜、じゃぁ、毎日連れて行かなきゃいけないじゃん」と思わず言いそうになった鍼師でした。