5月末は全国で2か所ほど猛暑日を記録する日もあり、連日の真夏日に6月がどうなることかと危惧しましたが、割と梅雨らしい気候となり、天候不順ながら比較的気温の低い日もありと、早々の夏バテを回避できたような気がしました。ただ、6月の一言通り梅雨の多湿と気圧変動による不調は多く見られました。梅雨明けは例年通り7月中旬になりそうです。先日熱波が襲ったフランスでは気温44.3℃に達したとのニュースが入りましたが、4月に気象庁が正式な予報用語として酷暑日(40℃)を新設したように、日本でも酷暑日が珍しくなくなるかもしれません。
さて、これからは、熱中症や冷房病が要注意です。脱水にはまめな水分補給を心がけていただくとして、冷房病は人の快適志向に乗じてじわりじわりと忍び寄ってきます。特に冷えた身体で急に30度をこえる温度の場所に移動する場合は身体に急激で大きなダメージを与えます。もともと人間が対応できる急激な温度差は8度までで、これを超えると自律神経機能が著しく失調します。当院でも治療室では快適に治療を受けていただくため、程よく温度・湿度を下げていますが、待合室は少し室温高め、さらに熱いお茶で体温を上げて、外に出ていただくようにしています。皆さんも炎天下に外出せざるを得ない時は、前もって空調を切って、身体を慣らしてから、外出するようにしましょう。
熱中症は軽度では、四肢の脱力・めまいとなりますが、中度になると、狂った自律神経のため体温調節が出来なくなり急激に体温上昇を起こして、酷いめまい・四肢の痙攣・吐き気といった症状が出ます。すぐ出来る救急措置は、保冷剤等で大きな動脈の表出する部位(頸、脇下、鼠蹊部)を冷やし、食塩水やスポーツドリンクを少しずつ摂取することです。最終的には体温暴走・意識障害など重度熱中症になり、点滴が必要な危険な状態になるので、直ちに救急車です。
それと中度以上では、内蔵にダメージを受けるので、お腹は冷やさない様(逆に温める)ようにします。中国医学では、熱中症にしても冷房病にしても、病因的には、陽気(特に消化系統を中心とした中焦の陽気)が消耗することで発症すると考えます。これには、中焦の中心である臍周囲や回復力を高める腰の腎兪・命門といったツボをじっくり温め補うことでより早く回復してきます。中国・明の熊宗立によって著された『医書大全』(1446年刊)という書には、夏の旅の途中、熱中症で倒れた人に、臍の周りに熱せられた土を盛って、そこにオシッコをかけて温めなさいと記されています。現代はUSBカイロが便利かもしれませんね。
先月、水分代謝能力を高め、熱中症などの予防で使う漢方薬として「防已黄耆湯」「五苓散」が良いと書きましたが、冷房病に対しては、全身の水はけと下半身の冷えを温める「苓姜朮甘湯」で冷房病の9割は治るとする漢方大家の講義録の記述もあり、この時期に揃える漢方薬として良さそうです。
もう一点、夏に発症しやすい病気(特に男性)に痛風について。現在の研究では、痛風発症の原因は、第一に内蔵脂肪。これは内蔵脂肪に含まれる肥満細胞が尿酸の元となるプリン体をたくさん作り出すように働きかけるからです。第二に運動不足。これは血中の尿酸が、下肢末端などに濃度を高め、結晶化するためです。以前当院の患者さんで、会社の定年前は夜の会食が多く尿酸値がかなり高めだった方が朝せっせとウォーキングに励んでいたものの、退職後会食が減り尿酸値がかなり下がったのに安心してウォーキングを止めたところ、一週間で通風を発症したことを聞きました。最後に脱水。これは全体的に尿酸の血中濃度を高めるからです。よくプリン体を多く含む飲料と指摘されるビールは、実はプリン体の含有量よりアルコールとしての脱水作用(アルコールは肝臓で分解処理に余計に水分を使う)が問題であるのです。痛風予備軍には特に水分補給です。当然ビールは水分補給にはなりません。また痛風には、尿がアルカリ化すると尿酸が溶け込んで排出されるため、ナトリウム、カリウム、カルシウムを多く含む食品、ワカメ、ひじき、干し椎茸などを多く摂るのも効果的です。Meijiから発売されているプロビオヨーグルトPA-3も乳酸菌PA-3株がプリン体を取り込んで腸管からの吸収するのを阻害するようで、有効なようですよ。
FIFAワールドカップ26では日本代表が大活躍中です。主力選手の故障が相次ぎ、どうなることかと思いましたが、順調に勝ち点を重ねて1stステージを突破しました。決勝トーナメントでも熱狂して盛り上がりたいものですね。熱狂といえば日経平均株価が7万円を超えました。半導体関連株の異常な上昇によるもので、長年株式の時価総額1位を堅持してきたトヨタをキオクシアが抜いたとのこと。原発事業の失敗でキオクシアの前身となる半導体部門を売り払わざるを得なかった東芝は涙目でしょうが、株価というのは上昇より急落が顕著です。株式投資をしておられる方は気を付けて注視していただきたいですね。株を一切保有していない鍼師は、自宅で飼っていたヤモリが卵を産んで熱狂しており、逆に妻がしきりに「気持ち悪い」を連発していましたが、可愛いやん。ちなみに最近ゴリラに熱中している妻は、上野動物園のゴリラ「ハオコ」に「シルバーバック、恰好ええわぁ」と「どこが?」。感性の合わない夫婦の日常でした。
5月に爽やかな気候はもう望めなくなってきたのか、今年の5月も初夏のような日差しの日と、梅雨の走りで梅雨っぽい日が交互に来るような一か月で、下旬は連日の真夏日と、本来調整期間となるはずの季節がちょっと微妙で、春の自律神経の乱れが尾を引き、不定愁訴や風邪、梅雨の前倒し的な神経痛とかが多く見られた一月でした。
鍼師の妻も、4月末に実家の義父の世話に行って帰ってから不調で、
妻「実家にネズミが入り込んで糞だらけなのを掃除してから調子悪い」「ネズミは齧歯類だからハンターウィルスかしら?」
鍼師「そのウィルスは日本に入っとらん(心の声)」
妻「きっとハンターウィルスよ!」
鍼師「…豪華客船で貰ってこい(心の声)」
というコントをやっておりました。
今年は沖縄が平年より早く5月上旬に梅雨入りしましたが、九州から東北にかけては6月中旬と平年より遅い梅雨入りになる見込みとのこと。本格的に梅雨に入ると、多湿のため、身体に水分が停滞し、熱が放散しにくくなります。体感的には、ジッとしていると寒いのに、少し動くと暑い感じです。この停滞した水分は、朝に顔をむくませ、夕方には重力で下がって足に靴下の後をガッツリ付けます。東洋医学で言う「水毒」の状態です。これに梅雨寒や気圧の低下が加わると、関節痛や神経痛・古傷痛が目立つようになります。これは急激な気圧の低下で体液成分が変化することと、冷えにより体表の血管壁が収縮し、痛みの受容器を刺激することによって引き起こされる痛みで「気痛」と呼ばれます。応急的には温めることが一番です。また、湿気は消化系統である「脾」に影響が出ると、吸収力も蠕動運動も低下し、お腹が張ってもたれ気味。尿も大便もすっきり出なくて急に下痢・腹痛を起こすこともあります。
これらの状態には、まず水分の摂取管理。特に血液ドロドロの対策意識が強過ぎる方は、この時期水の摂り過ぎが目立ちます。水分を摂るタイミングは「のどの渇き」だと思いますが、水分の摂り方は、冷たいものをガーっと飲むのは駄目です。少ない量から出来るだけ常温以上で口に含み、唾液を混ぜてゆっくり飲みます。実は、のどの渇きを止めるのは、水ではなくて唾液です。唾液は自前で作れる最高の胃腸薬とも言われ、炭水化物の消化はもちろん、殺菌作用で虫歯や歯槽膿漏の予防にもなり、胃酸の中和により逆流性食道炎の予防にもなります。そして、のどの渇きを抑えることで、水分の摂り過ぎを抑制します。噛む事でよく出るようになるので、食事では一口30回を目標に、よく噛む習慣を身につけましょう。当然消化も助けます。
次に水捌けの改善。多湿以外でも身体から水が抜けにくくなる要素は塩と砂糖。入院した時に不味いと感じる病院食は減塩をしていて味が薄くなっているためですが、入院中に余分な水分が抜ける経験をする方が一定数居られます。塩分より問題なのが糖分。東洋医学では甘いものを摂りすぎると使われない過剰栄養素が溜まり、水と絡んで「湿」となり、淀みや滞りの原因になると考えます。滞りが続くとなんとかそれを解消するためにその局所に熱が発生し、これが湿熱です。関節炎や皮膚炎にもつながります。
糖分に関しては、水捌け以外にも、血糖値スパイクという問題があります。「疲れたときには甘いものを!」と常識のように糖分の補給するのは実は間違いで、補給後疲れが取れたとテンションが上がるのは、急速に血糖値が上がる短時間のみで、その後反射的に膵臓からインシュリンが大量分泌され、血糖値は反転して一気に低血糖状態に陥り気怠く眠くなります。さらに低血糖を危機的状況と判断する副腎は、ストレスモルモンであるステロイドを分泌しますが、これが続いて副腎疲労に至ると、「疲れが抜けない」『気分が落ち込みがち』「集中力が持続しない」「偏頭痛がする」「睡眠の質が悪い」「あまり食べていないのに太る」などの「うつ」的な症状に陥ります。思い当たる症状のある方は、騙されたと思って1週間程、砂糖を中心とした甘い飲食物をカットしてみましょう。きっと違いが出てきます。それでも甘いものは止められないという方(分かります。甘いものって美味しいですから)、耳の飢点というツボで欲求を少々押さえられますから、ご相談ください。
最後に、発汗能力の強化。体温調節に良い発汗とは、体温が上昇すると同時に、全身からサラッとした汗をかき、熱を放散させるとスッと汗が引いて汗腺が閉まる、エクリン腺中心の発汗です。肩甲骨の内縁が強張ってくると、汗が出にくいので、これをもみほぐしておき運動しましょう。運動が苦手な方は下半身浴などで汗を出す訓練です。当初はアポクリン腺中心の発汗で、ベタッとした汗が汗腺を塞ぎ、熱も放散せず、体力も消耗しますが、1〜2週間毎日、大量の汗をかくことで良い発汗を獲得できます。夏に向けての熱中症対策にもなりますよ。さらに発汗後牛乳を飲むと、ミルクプロテインが血中のアルブミンに変化し、血液量を増やしてバテにくい身体を造るそうです。
ツボ療法としては、先月書いた「足三里」「中脘」「少海」の刺激を継続し、食養生としては、利尿作用を高め水分代謝を改善するハトムギ、小豆、緑豆。脾胃を温めて、発汗を促すショウガ、ネギ、花椒が有効です。食べ方として、普段は胃に優しい暖かくて消化の良い食事を心がけて胃を休め、何日かおきにエネルギー効率の良い、精の付く食べ物(鰻や焼き肉など)を食べるというのも良しです。鰻にはビタミンBやミネラルも豊富に含まれています。「アレ食べたいコレ食べたい」の食欲は「アレやろうコレやろう」の意欲に通じるので、食欲を落とさず、美味しい食事が継続できるよう養生しましょう。また、漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)が消化吸収を助けながら、余分な水分を取り除く作用があり、熱中症で多用する五苓散(ごれいさん)も水分代謝改善で効果的なので、持っておいて損は無いでしょう。
4月は初旬の寒さから中下旬の暑さ、朝晩と昼の日格差も大きく、春に三日の晴れなしの如く、天気も気圧も不安定で変化の激しい一月でした。湿度も結構高く、梅雨みたいな日もあり、お腹の張りや胃腸の不調を訴える人も見られました。
3月の一言で春は肝気の乱れから精神的にはイライラすることが多く、計画性のない突発的な犯罪が増えると書きましたが、4月のワイドショーの話題をさらったのは、ホルムズ海峡関連を除けば、京都府南丹市園部小学校の小5男児行方不明事件でした。実は東日本大震災のさらに2年さかのぼる17年前に、鍼師の妻子が義母大病と介護のため京都に移り住むこととなり(鍼師まさかの単身赴任状態に!)、その町が園部町で、うちの息子たちが転校した学校が園部小学校だったため(ちなみに姪っ子の息子が現在も2年生で在学している)、我が家には土地勘もある実に生々しい事件となって注目していたわけですが、遺体発見という残念な結果となってしまい、ただただ冥福を祈るばかりであります。
この話に続けるのも何だかとは思いますが、この小学校の運動会で、鍼師は保護者のリレー競技で足がもつれて派手に大転倒し無茶苦茶恥ずかしい思いをするという、実にいや~な記憶があります。その後、運動神経の良かった人ほど、ギャップで差が出て転倒しやすいという話を聞き、自分を慰めた次第でありますが、過去の身体能力記憶と現在の身体機能のずれは、年を重ねるほど感じることが多くなり、けがや故障、衰えの自覚や動作の不安感とつながってきます。昔は数段とばかしで階段を素早く降りていたのに、段々出来なくなったとかありますよね。
脳からの指令通りに、筋力や柔軟性、バランス、リズムを使い、自分の身体を自在に操る技術を身体操作能力(コーディネーション能力)といい、
- 定位能力: 物体と自分の位置関係を空間的に把握する情報処理能力。
- 変換能力: 状況変化に応じて、動きを切り替える予測能力。
- 連結能力: タイミングよく身体をスムーズに動かす能力。
- 反応能力: 合図に素早く的確な動作で反応する能力。
- 識別能力: 手足や用具を視覚と連携させて調整する能力。
- リズム能力: リズムを作ったり、真似したりタイミングをつかむ能力。
- バランス能力: 身体バランスを維持し、崩れを素早く回復する能力。
という主に7つの要素で構成されます。
この能力の向上方法は、単なる筋トレではなく、神経と筋肉の連携をスムーズにするトレーニングが有効です。
- 反復練習・ドリル: 正しいフォームを繰り返し練習し、身体に覚えさせる。
- 体幹・インナーマッスルの強化: 姿勢を安定させ、力の伝達効率を向上させる。
- 柔軟性の向上: 関節の可動域を広げ、滑らかな動きを可能にする。
- 新しい動きへの挑戦: これまでやったことのない動作や、異なるスポーツを行うことで脳に新しい刺激を与える。
具体的には、
- 重心の移動→走る・跳ぶ・回る・泳ぐ
- 姿勢の変化→立つ・しゃがむ・逆立ち・ぶら下がり
- 道具の操作→投げる・打つ・蹴る・ドリブル
などです。
放っておくと年と共に段々衰えていく能力で、思い通りに身体を動かせなくなると、長生きするのも辛くなります。もしこの能力を維持・向上できると、少ない筋力で大きなパワーを発揮でき、全身の関節の連動がうまく協調するようになり、危険予測・回避能力を高まって、怪我の予防や運動パフォーマンスの向上につながり、メリット大です。
さて、5月の上旬は本来一年で最も快適に過ごせる時期です。陽気の上昇にも身体が慣れ、身体中の新陳代謝も最も活発になります。太陽の光も降り注ぎ、紫外線のビタミンD活性化作用で、この時期の運動は、骨を強化するので、なわとびなど、直接骨に負荷をかける運動は特にお薦めです(ただ、紫外線の必要照射時間は一日15分程度で、後は日焼けに注意)。過度な負荷で故障するのは禁物ですが、運動初めで引き起こされる筋肉痛は、運動負荷に見合った筋肉の状態(特に筋肉内の毛細血管の発達と十分な血液量)でないと酸素と栄養の供給が不足し、疲労物質が溜まり引き起こされます。この筋肉痛は毛細血管の発達の引き金となり、続けて使うと、疲れにくく回復しやすい筋肉にレベルアップします。こむら返り等、筋肉の痙攣が起きやすい方は、その要因の一つとなる筋肉内の毛細血管の発達を促進できるよう根気よく鍛えておきましょう。逆に、鍛える大変さに比べ衰えるのはすぐで、使わない状況だと筋力・心肺能力とも一日3%ずつ低下します。適度な運動は習慣にしたいものです。
初旬は比較的さわやかと予想される5月も下旬に入ると湿度が上昇し始め、不快指数が増してきます。湿度があがると消化器系統が影響を受けます。夏に体調を大きく崩す人は、この頃から少しずつ胃腸の負担が蓄積し、体調を崩し始めていることが多いため、胃腸に余裕を保って、しっかり機能する状態を維持して下さい。体調を崩すと、足三里や中脘(ちゅうかん:胸骨下端と臍の中央)、少海(肘の内側の骨のきわ、肘を曲げてできる横じわの内側の端)の刺激が必要になります。あまり胃腸に自信のない人には、あらかじめ短期間の断食などをして一時胃腸を休めてあげることをお勧めします。
昨年12月から2月まで、雨が降らず乾燥した気候から比べると、3月はちょこちょこと雨の多い一か月でした。三寒四温を繰り返しながら、雨が降るごとに気温が少しずつ上昇し、桜の開花が例年より早く、入学式まで桜が残っているか分かりませんが、春の訪れを実感できる4月に入ってきました。
春は元々、肝気が乱れ、気が上昇し首や頭が詰まる時期だと先月触れましたが、新しい年度が始まることで、環境ががらりと変わる時期でもあります。この時期は新しいことを学び始めたり、新しい環境から膨大な情報を目にしたり、調べものからネットサーフィンに夢中になったりと、やる気とともに脳がフル稼働する時期でもあります。すると、脳の情報処理力が追いつけなくなり、脳疲労、頭痛、眼精疲労という症状が出るものです。先月の一言のふくらはぎのマッサージやツボ療法に加え、頭痛に対する代表的な漢方薬である「釣藤散」を使うのもアリかと。めまいやイライラ、気分の落ち込み、肩こり、耳鳴り、不眠などの緩和にも効果があるとされています。その他、ラベンダーのマッサージオイルの活用もお勧めです。鎮静作用、鎮痛作用に優れ、首筋や耳まわりをマッサージすることで、リラックス効果だけではなく、肩こりや頭痛などの緩和が期待できます。血流改善にも役立ち、三半規管のケアにもおすすめです。
食養生として、上に熱がこもった状態を改善する清熱作用のあるキャベツ、ブロッコリー、ルッコラ、カリフラワー、菜の花などアブラナ科の野菜を取り入れましょう
この時期旬のタケノコも、脳の機能を円滑に動かすために必要な神経伝達物質であるアセチルコリンの材料となるパントテン酸や、自律神経の調整を行う甲状腺ホルモンの材料となるチロシンを含みます。そのため、ストレスが多い時期にも役立ち、「肝」の働きをサポートしてくれます。
4月も中旬になると、陽気が安定してきて、年度当初の緊張感も和らぎ、逆になんとなく調子が悪い、だるい、眠い、昔風に「春眠暁を覚えず」というような状態に陥りやすくなります。これら春の不調には、3つほど原因が挙げられます。まず第一に「基礎代謝低下にともなう自律神経失調」です。春になり気温が上昇すると、体温維持するための基礎代謝が低下し、連動して自律神経が副交感神経優位に移行します。すると一時的に副腎皮質ホルモンの分泌も低下し、心身の機能低下を引き起こし、だるくなってしまうのです。第二に「ビタミン欠乏」。春になって暖かくなると、基礎代謝量は減少しますが、新陳代謝は逆に、寒さによる抑制が外れて非常に活発になります。この代謝の過程でかなりのビタミン(特にVB1,VB6,VE)を消費し、不足しがちになります。この結果、調子が出てこないという仕組みです。豚肉、春キャベツ、ピーナッツ、ネギ、ニラ、ニンニクなどを食べてビタミンB群の補給をしておきましょう。最後の第三は「快適気候」です。人間が最も快適だと感じる気候が「気温22度、湿度65%」です。これは、人間が呼吸したり活動するのに最も負担が少なくなる状態となります。快適になると当然緊張感もなくなり、眠くなり易いとう構造です。こういった状況に対してのツボ療法は、先月に勧めた「太衝」「曲泉」「足三里」のツボ療法と共に、足の外くるぶしの前・下・後ろ周辺の刺激や、頭の天辺の「百会」の刺激も加えると効果的です。
最後に、4月からは、万物の生長の時期よろしく人間も心身の地力を増進するのに適した時期に入ります。東洋医学の原典である「黄帝内経素問」にも、「春の3ヶ月は万物が古いものを推し開いて、新しいものを出す季節であり、天地間の生気が発動して、すべてが生き生きと栄えてくる」と書かれてあるように、これからの3ヶ月で作りあげた体力が1年中で最も充実してその後の季節を乗り切れるかの基盤となります。ただし、急激な運動は故障の原因となりますので、焦らずじっくりと鍛え上げましょう。世界はイラン戦争勃発で、原油の供給も不安定になっています。たぶん長引かないと思うけど、もしエネルギーが枯渇したら、頼りになるのは自身の筋肉です。現時点では妻に勝てるか微妙な体力を夏までに鍛え上げなくては…鍼師も挑戦が始まります(泣)。
2月は28日間と短い一か月でしたが、2月8日は衆議院選挙の投票に雪が舞う中、投票所まで歩いたのに、ほぼ2週間後の23日は春一番で、東京としては観測史上初の2月の夏日(25℃超)という凄まじい気温上昇で、皆さんついていけずに体調を崩す方も多数おられました。春一番などフェーン現象による急な気温上昇と寒の戻りの「三寒四温」の季節はまだしばらく続きますので注意が必要です。
「木の芽時には調子が悪い」といわれるように、この急激な陽気の変動には自律神経がついていけません。東洋医学では、春の陽気は肝気を乱し、体内の気が統率を失い、上へ昇って下半身と上半身のバランスが悪くなり、足腰がだるい一方、肩から上は詰まった感じで、肩・首の凝り、頭痛、さらには眩暈・耳鳴りを引き起こしたりします。
この場合当院では、肩首の凝りは散鍼などで散らすように治療しますが、首に関しては後頸部だけでなく頸動脈のある前頸部も大事。頸動脈には頸動脈洞という圧受容器があり、ここを指圧すると圧迫により血圧が高いと錯覚し、血圧と脈拍数を下げようとします。その反応が副交感神経優位に働き、循環系の調整だけでなく、不眠症などの睡眠障害、便秘や下痢といった消化系障害などの自律神経全般の調整にも役立つので、耳の下から頚の中央に走る胸鎖乳突筋の中央部をその奥の頸動脈ごとマッサージするのは非常に有効です。
上下のバランス補正に関しては、上実下虚の基本穴である「足三里」とともに、足の1・2指の間の付け根にある「太衝」や膝窩横紋の内端にある「曲泉」という肝臓強化のツボを刺激し、下腿を指圧して上昇した肝気を下に下げます。皆さんも入浴中などにふくらはぎをせっせと揉みほぐしてみましょう。
さて、フェーンという言葉はもともとドイツ由来で、本場ドイツでは、フェーン風が吹くと精神不安で、自殺者が増え、交通事故が多くなるとの統計もあります。我が国でも春の陽気による肝気の乱れは、精神的には能動的な精神活動のコントロール不能という形で現れます。これがマイナスに働くと、やる気がでず、ボーとして物事に集中出来なかったり、鬱っぽくなったりします。これには生活リズムを整え、朝できるだけ太陽の光を浴びて、シャキンとさせましょう。睡眠中に脳内に分布するメラトニンは目からの太陽光刺激でパーっと分解し、意識の覚醒とともに自律神経のメリハリとなり鬱脱出です。
逆にプラスに働くと、古医書にある「肝傷られれば怒する」との記述にあるように、イライラして怒りっぽくなったりするわけです。社会的にも、車の危険運転や、計画性のない突発的な暴力事件、欲望の抑制がきかない痴漢や露出狂などの軽犯罪が目立ったりします。なにげに夫婦喧嘩も一番多くなる時期ですが、この怒るという感情は拗らせれば周囲の環境を劣悪にし、じわりじわりと健康を蝕みます。皆さん是非、精神修養の良い機会だと思って、怒りと行動を直結させずに、ワンテンポおいて、深~く深呼吸をして、冷静に慎重に行動してみましょう。怒りを巧くコントロール出来ると、生産的なやる気につながり、心の平穏と共にと幸せになれるはず。鍼師はすでに、「他人(妻)は思い通りに成らない」と達観し、自分の意地やプライドを見直し、多様な価値観を受け入れ、内観により常に冷静に自己分析するもう一人の自分を創ることに成功し、聖人のような道を歩いています(ウソ)。万が一余裕がない人に、理不尽にイライラをぶつけられたとしたら、「あの人は春に翻弄された可哀そうな人」と同情したり、「ラッキー、これを乗り越えて魂をワンランクアップ!」と考えたりして乗り切りましょう。それでも難しければ、軋轢が生じる人との間に距離を作りましょう。鍼師にも昔、心の平穏のために妻と500kmの距離を保っていた時期があったなぁ~(遠い目)。
2月は、ミラノコルティナ冬季オリンピックが開催されました。選手の皆様には申し訳ないのですが、大して注目も期待もしていたかったのが、連日のメダル獲得となる大活躍で随分楽しませていただきました。活躍以上に素晴らしかったのが、自分に結果が出なくても、国を超えたライバル達と結果を称えあう雰囲気があったことです。本当に良いオリンピックだったなぁと、鍼師もほっこりさせてもらいました。
年明けからゆったり過ごしていたら、3日朝は雪が積もっていて吃驚したり、妙に暖かい日が続いたと思ったら、反転して寒気が流れ込んで、グッと冷え込んだり、寒暖差の激しい一か月でした。風速1mで体感温度は1度下がるそうで、天気が良くても風が強いため寒いと感じる日が多かったように思います。
インフルエンザも昨年11月の流行から一度収まったものの、今年に入りB型の流行が始まっており、2回罹患する人も居られるようですが今後も注意が必要です。積極的なガード(予防)として一番予防効果が高いのは手洗いですので、帰宅時には忘れずに。R-1ヨーグルトなども効果的ともされますが、生薬「桂皮(けいひ)」(食品にも使われるシナモンやニッキ)も有効です。お試しあれ。
東京の1月は雨天極わずかで、乾燥は酷く、洗濯物は早くパリパリに乾くものの、皮膚は乾燥しすぎで掻痒症になる方も多かったです。皮膚の状態は、綺麗好きほど荒れるのですが、痒くなって「汚れや垢は、こそげ落としてピッカピカだ〜」とゴシゴシ洗うのは実は逆効果なのです。肌に関してはその垢こそ大事。人体の表面を覆う角層は、死んだ細胞(=垢)といえる角質細胞でできていて、その角質細胞の間にが、 NMF(アミノ酸保湿成分)やセラミド(細胞間脂質)といった保湿に役立つ成分が、まるでセメントでレンガブロックを固定するかのように埋まっていてコーティング層となり、水分を逃さないようにするのです。この角質層は強くこすると24時間回復しません。風呂好きでも肌は軽く表層の油分を手で洗う程度で垢も大事な身体の一部と考えて、入浴時は優し〜く、大事~に扱ってあげましょう。内面から肌を助けてくれるものに、薏苡仁「ヨクイニン」という漢方薬(ハトムギ粉末)があり、これも有効です。ツボとしては、肩を水平の高さに外転して、肩の前にできる窪みに肩髃(けんぐう)というツボがあり、美肌のツボとしてお薦めです。
今月は日本人の罹患する病で最も多い病気、花粉症にもふれておきましょう。すでにそれらしき症状を訴えておられる患者さんもおられますが、本格的にはこれからです。一般的な予防としては花粉のばく露を防ぐ、ということになりますが、外出にあたっては花粉情報に留意し、マスク・メガネなどの花粉症グッズを着用して、できる限り花粉をあびないようにすることが必要です。帰宅時には、花粉除去と鼻粘膜の炎症に対する「湿潤療法」的観点から、鼻うがいも有効です。生理食塩水(0.9%の食塩を溶かした蒸留水)を作って挑戦してみましょう。
花粉症に対するツボ療法は、メガネの鼻あてが当たる所にある「鼻通」というツボや正中線上で髪の生え際から1〜2㎝入った所の「上星」というツボなどが効果的。これらのツボはズーンと強めに押してパッと離すという刺激を5〜10回与えるだけでも鼻水症状の軽減を期待できます。根本的には、東洋医学では、花粉症が悪化する体質「水毒(水滞)」を改善することをめざします。「水毒」とは、水がバランスよく身体に分布せずに、一部の部位に停滞した状態をさします。この状態の人が花粉などの刺激をきっかけに余分な水分が鼻水や涙という形を取ってあふれ出て来るという現象なのです。これを改善するには、冷えを取り、余分な水分の排出を促し、かつ血液やリンパの流れを良くするということです。また、腸内環境の改善は、免疫機能の正常化・強化に繋がります。年末年始で食べ過ぎて、良くない食習慣を引きずっている方は、食事の量を減らし、食後眠るまでの時間を3時間確保するなど努力して、絶好腸にもっていきましょう。
現代医学的には舌下免疫療法があります。要はだんだん濃度を濃くした花粉エキスを舌下に垂らして慣らしていく「減感作療法」ですが、「医師の指導のもとで」と仰々しくせず、「減感作療法キッドを薬局で」とかで普及させられたら医療費の削減になるのにと思っちゃたりします。
さて、2月は冬季オリンピックが楽しみだと思っていたら、衆議院解散で総選挙にもなり、何となく落ち着きません。ついついSNSやYouTube動画を見て夜更かししちゃうかも?こうしたことで生じる睡眠不足は、脳の疲れに直結しているだけでなく、免疫機能を低下させ、万病のもとである慢性炎症を起こりやすくします。脳には日々老廃物がたまりますが、睡眠時は老廃物の処理速度が起きているときに比べて1.6倍にもなります。寝る時間が少ないと老廃物がたまり、将来の認知症リスクが上がります。また、記憶の定着に関係する海馬は、寝不足により傷つき委縮します。さらに、若々しい細胞をつくる指令を出す成長ホルモンは、睡眠時に大量に分泌され、とくに入眠後3時間の睡眠の質が成長ホルモンの分泌に関わります。良質な睡眠は脳に大事。食薬として脳の疲労と若返りのため、オメガ3脂肪酸を多く含む青魚をとりいれ、早寝早起きで頭脳明晰といきましょう。
余談ですが、先日、患者さんの身内の方にご不幸があったものの、火葬場の関係で2週間葬儀がずれ込んだとのお話をお聞きしました。葬儀自体は新型コロナ流行から小規模化していく傾向で費用も下がってきていますが、関東、特に東京23区は深刻な火葬場不足で死者数の増える冬場(12月〜3月)は1週間以上待つ「火葬待ち」が常態化しているとのこと。追加でかかる費用は、1日あたり約1万〜2万円(安置料+ドライアイス)が相場で長期間の火葬待ち(10日以上など)だと防腐処理などのエンバーミング(15万〜25万円程度)が必要になることも。頭脳明晰状態でついつい計算しちゃいました。死んだ後もお金がかかる、あぁ、世知辛い(泣)。
新年あけましておめでとうございます。本年も鍼師祥寿院をよろしくお願い申し上げます。11月から穏やかに推移した気温が、12月中旬から寒波で一気に冷え込み、年始も冷え込みが続きそうです。東洋医学的には寒い時期に影響を受ける臓器は、冷えた身体を温めるために、余分な水分をどんどん尿にして排出する腎系統(腎臓・泌尿器)で、体表では腰に現れます。人間というものは絶対的な寒さ(例えば、気温0℃が続く)より、相対的な寒さ(前日15℃で今日5℃など)の方が耐え難く、12月は腰痛・坐骨神経痛が頻発しました。ギックリ腰は通年見られる症状ですが、この時期は特に注意です。足腰下腹部を積極的に暖め、お小水をマメに出して膀胱を出来るだけ空にし、「腎兪」「三陰交」「湧泉」のお灸刺激を心がけましょう。
今年は年末年始を比較的ゆっくりと過ごせている方も多いかと思います。気の緩みから年末の疲れがドッと出たり、正月の食生活の乱れは如何ともし難いところ。特に正月と言えばお餅。ついつい食べ過ぎてしまいますが、実はもち米は、血をネバネバさせて身体に熱が籠った「湿熱」という状態に導きます。この湿熱は、熱を持つ炎症疾患(関節痛・リウマチ・蓄膿・蕁麻疹・化膿など)や胃腸が疲れて口内炎等できる人には好ましくありません。美味しいけれどお餅はお正月のみとしましょう。清熱・利尿があるキュウリや清熱・生津(体液補充)作用のあるトマト、漢方薬として薏苡仁(はとむぎ)で調整するのも良いですよ。
さらに寒い時期に気を付ける病気は血管病。冬の入浴によるヒートショック。早朝のトイレで、寒さによる毛細血管の緊張と血圧の急上昇で脳卒中をおこす事例も増加します。最高血圧と最低血圧の差を脈圧と言いますが、これが大きい人は血管壁の弾力が失われ、動脈硬化が進んでいる証拠なので特に要注意です。症状としては、風邪症状が無いのに頭痛がして、左手の脈が右と比して早く激しく打っている場合(中風脈)、心臓や脳に大きな負荷がかかっていると自覚しましょう。ツボ療法としては、「膻中」や、「心包経(前腕の掌側中央を手首から肘までのライン)」を10秒ほど指圧刺激すると心臓の負担軽減で有効です。
2026年は干支で言うと丙午(ひのえうま)にあたり、「丙」も「午」も火の性質を持つことで、強いエネルギーで前進し、道を切り開き、成功を収めるという運気が上がる縁起の良い年とされています。経済ボロボロながら影響力とアクの強い中国や、どっちを向いてるのかよく分からないトランプ率いる米国など日本を取り巻く環境も厳しいですが、一歩一歩力強く前進してほしいものです。普段引っ込み思案で、人見知りで、慎重派の鍼師も、今年は大胆に失敗を恐れず、色んなことに挑戦する一年としたいと思います。で、何に挑戦するの?う~ん、何にしよう?神仙華佗を目指す?(無理~)
「秋が無かった」と思うほど寒く天候不順だった10月から、「秋が戻ってきた」という感じの穏やかな秋晴れの続く11月でした。さすがに後半はグッと冷え込むことが増え、寝違い・頚椎症・ぎっくり腰など多々見られました。今後も体が固まって起こる諸症状や普段使いじゃない動作・負荷は要注意です。大掃除は一度にやらずに、コツコツと。
今季はインフルエンザの流行が例年より一か月以上早く、現在も全国的に拡大中で、江戸川区の小中学校でも学級閉鎖があちこちでとか。インフルエンザは変異も激しく、ワクチン接種を済ませていても感染することは十分考えられます。とにかく予防が大事で人混みの中ではマスクが必要です。またマスクは、濡らしておくと、ウィルスの遮断効果も増し、気道の保温保湿効果も高く、呼吸器系全般の免疫力を上げる意味でもかなり有用です。インフルエンザで最も注意しなければならないのは脳症ですが、実はこの脳症はインフルエンザが原因ではなく、非ステロイド系抗炎症成分のジクロフェナクナトリウムが原因と判っています。インフルエンザ罹患時には安易に解熱薬で熱を下げない方が良いですが、どうしても使わざるをえない場合、副作用の少ないアセトアミノフェン(カロナール)や漢方薬の麻黄湯を選択し、ボルタレンやポンタールは危険だと考えましょう。
この時期は、ついつい忘年会等での楽しーい暴飲暴食が続きます。食べすぎてカロリーと糖質を過剰に摂取した場合、余分なものは脂肪として体に蓄えられますが、それには1~2日程度の時間がかかるため、2日続けての暴飲暴食は確実に脂肪を蓄積させます。ですから暴飲暴食時には、3日間かけて食事や睡眠で体を調整し、その都度もとの状態に戻すように心がけてみてください。少しでも蓄積させないために、とりすぎてしまった分のカロリーを3日かけて減らすようにしましょう。例えば、摂取カロリーがいつもより1000kcalオーバーした場合、1日あたり通常より300~400kcal減らすことで調整していきます。そして、不摂生で疲れてしまった胃腸や肝臓のために抗炎症食材、整腸食品をとるとリセットです。
便利な調味料としてカレーパウダーがあります。漢方薬でも使われる生薬がたっぷり入っていて、健胃整腸、鎮咳、肝臓調整、冷えの改善、ストレス軽減、抗炎症作用、抗菌作用など期待できる効能もたくさんあります。食材としてニラもおすすめ。ニラはネギ属の植物なので、アリシンが含まれ抗菌作用が高く、免疫力を高める効果があります。そして、アリシンは、ビタミンの吸収を高めて代謝を上げる働きをもつため、冷え改善や疲労予防にもおすすめです。具材にニラを入れた味噌汁にティースプーン1杯分のカレーパウダーを入れたスープカレー風ニラの味噌汁、いかがでしょう?風邪予防にもなりますよ。
ツボ療法としては、アルコール対策で肝臓の反応点である「太衝」(第1指と2指の骨間の線上)の刺激、胃腸対策として「衝陽」(足の第2,第3指の骨間、足骨の高くなっているところ)を「足三里」とともに、じっくり指圧や灸の温熱刺激を加えましょう。
今年も残すところあと一ヶ月。師走ということであっという間に過ぎ去りそうです。振り返ると、猛暑はひどくなり、連日の熊被害に吃驚し、大谷他日本のスポーツ選手は大活躍し、初の女性総理大臣に高市総理が就任して政府の性格がガラッと変わり、中国は相変わらずなのか?どんどん余裕がなくなっているのか?暴走気味で、うちのカミさんも時々暴走し、本当に色々とありました。来年はどんな年になることやら。来年の目標をじっくり考えつつ(そんな時間あるか?)体調を整え気持ちよく新年を迎えたいですね。
9月は酷暑がいつまで続くのかと、地底都市にでも住みたいなどと思っておりましたが、10月は一転して気温が下がり、秋晴れ乏しく、日照時間が例年の半分と、自律神経失調や鬱っぽい感じやら、気力の低下やらが多く、ヒジョーに陰鬱とした一か月となりました。「少々暑くても晴れがいい」、人間は無いものねだりです(苦笑)。
秋は肺系統が影響を受ける季節ですが、東洋医学では肺と大腸が表裏関係と、呼吸器とともに腸の粘膜にも影響が及ぶとされています。その影響は、日照時間とビタミンDでも次のように説明できます。
日照時間が減少すると皮膚にあるビタミンD3前駆物質に紫外線が当たらず、活性型ビタミンD不足となり、よく知られる骨を丈夫にする働きだけでなく、体内に侵入したウイルスや細菌などに対して、過剰な免疫反応を抑制し、必要な免疫機能を促進する作用が低下し、かぜやインフルエンザ、気管支炎や肺炎などの感染症に弱くなります。
また、ビタミンDは、抗菌ペプチドをつくり腸粘膜のバリア機能を高める効果や、腸粘膜の結合を改善しリーキーガット症候群の予防につながるため、不足すると腸内環境が崩れます。鍼師も冬季の不調な時にビタミンD3のサプリメントを摂取していますが、わりと調子が良くなるように感じています。
呼吸器系と風邪に関しては先月触れましたが、今月は腸の養生についてもう少し詳しく。腸と口腔内の細菌叢は連動していて、どちらかが乱れると免疫力低下の悪循環を招き、どちらかの調子がいいとお互いの免疫力が上がります。日中は唾液が口内悪玉菌の増殖を抑えますが、唾液の少ない人は梅干しなど酸っぱいものも摂取して、唾液腺を刺激しましょう。口内の歯周病菌や虫歯菌は悪玉菌の代表ですが、その他の雑菌も増殖させない様、寝る前は特に歯磨きなどの口内ケアが大事です。
腸内や口腔内で悪玉菌が増えるような甘いものをひかえて、強力な殺菌作用があるアリシンという栄養素を含むらっきょうやネギ類、整腸作用に富む、味噌やキムチなどの発酵食品、免疫作用の強いキノコ類(特にマイタケ)をしっかり取り入れ、年末の暴飲病食シーズンに備えましょう。
腸の不調には便秘や下痢がありますが、これらを整えるツボとして、鳩尾と臍の中間点の「中脘」、臍から指3本分左右外方の「天枢」、臍の指4本分下の「関元」、左右天枢の指3本分下の「大巨」があります。ここにお灸したり、臍を中心にこれらのツボに「の」の字を描くように、優しく10回ほどマッサージする「腸もみ」もおすすめです。
今年の10月は天候不良以外にも、万博閉幕やら、ノーベル賞日本人2人受賞やら、ゴタゴタの政局の末初の女性総理大臣誕生やら、大谷活躍やら、鍼師的にはエレベーターの交換やら色々ありましたが、ショッキングだったのがクマの被害。ツキノワグマが臆病で人は襲わないという常識が覆され積極的に人を狩る個体も出現し10月末時点で被害者12名と過去最悪。調べてみると、それまで最大の被害者をだした2023年(被害者6名)には、9000頭以上のクマを捕殺しているそうなのに減らずに被害拡大とは、本当に怖い。海は子供のころ映画「ジョーズ」を観てから近づかないようにしてるけど、山はねぇ~。カミさんの実家も限界集落だし。先日、日光旅行を計画していたので一応警棒を常備して行きましたが、クマに出くわしても「俺が戦うから、お前は逃げろと」カミさんに言えなさそうな~(泣)。いやいや、鍼師の北斗神拳が火を噴きますから!あたたたたたー。人生の最後が猟奇的なものでありませんように願う今日この頃です。
まず初めに、先月緊急告知しましたが、10月16日(木)までエレベーターの交換工事のため、階段しか使えなくなります。ぎっくり腰や、膝痛、股関節痛、坐骨神経痛などの腰下肢の疼痛障害には、来院が厳しく誠に申し訳なく思います。そうでなくても4階までの昇り降りは大変です。皆様には大変ご迷惑おかけします。幸いなのは、いつまで続くかと思われた、猛暑日がお彼岸を境にかなり涼しくなったことです。「頑張って階段使って伺うわ」と言ってくださった患者様には、暑い中を階段上って4階まで、というのは回避されそうで、ホッとしています。それでも大変ですが、よろしくお願い申し上げます。
今年の夏は、本当に9月の半ばまで猛暑日が続くという、鍼師も夏バテを感じる猛烈な暑さでしたが、常時エアコン運転による悪影響もあり、エアコンの冷えによるぎっくり腰や寝違い、おそらく換気不足が影響していると考えられる新型コロナなどのウィルス性感冒の流行が目立ちました。その後反転して涼しくなりましたが、体感の心地よさとは裏腹に猛暑の疲れがドッと出て、昼間妙に眠いなどバテ症状や自律神経の失調が多く見られました。これは夏の陽気の消耗を引きずっているためですが、鳩尾から臍の周囲と背中の胃の裏あたりをじっくり暖めると陽気がより早く回復しシャキンとしてきます。
これからは気温がさらに下がり、急速に空気が乾燥して本格的に秋の気配を感じるはずですが、東洋医学的な考え方では、秋は肺系(呼吸器・皮膚・粘膜)が影響を受ける季節です。これからは、肺を強化する「中府」「肺ゆ」、免疫強化の「大椎」、喉の強化や熱取りに使う「母指・人差し指の爪の生え際」といったツボを刺激しましょう。風邪に対しては、発熱の初期には上半身の発汗を促し、解熱薬は熱のピーク(発症から1日程度)まで我慢して服用、というのが理想です。漢方薬は、悪寒など風邪初期は「葛根湯」、発熱時は「麻黄湯」、咽喉痛には「小柴胡湯加桔梗石膏」、運悪く長引くと「桂枝湯」と場面により上手く使い分けましょう。
さて、少し涼しくなったと思ったら、いつのまにか日はだいぶ短くなってきていて、秋らしく物悲しい季節になってきています。昔から、人の霊魂を魂魄(こんぱく)と言いますが、魂と魄はそれぞれ正反対のベクトルを持つ精神エネルギーで、魂は能動的な精神エネルギーとして肝臓に宿り、魄は受動的な精神エネルギーとして肺臓に宿るとされています。このため、秋は肺が影響を受け、受動的な精神活動である感受性が高まり、ナイーブになります。これが東洋医学の言うところの「心身相関」です。具体的には、感受性がいい作品に繋がると「芸術の秋」になりますし、味覚に対する感受性が高まると「食欲の秋」になります。また、人間関係では「恋愛の秋」や「失恋の秋」も盛んになります。東洋医学的には「憂い・悲しみ」が過ぎると、さらに肺を傷つけるとも警鐘を鳴らしており、この時期は、何か辛いこと、落ち込むことがあっても、「秋が私をそうさせるのね」と責任転嫁したり、割り切って感情を爆発させ、涙をたくさん流すと、精神的に癒されてスッキリします。実は涙には、ストレスを受けたときに脳内に大量に作られるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を排出する作用があるためなのです。ACTHは内臓や筋肉を緊張させるので、健康のためにも悲しいときは我慢せずにしっかり泣くことをお勧めします。
また、「そうは言ってもなかなか・・・泣けません」という人は、ため込んだストレスで脳がマイナス状態になることがあります。脳がマイナス状態だと、様々な苦痛をさらに増幅することがあり、この増幅した苦痛が「本来の苦痛だ」と脳の勘違いを引き起こすと、苦痛の慢性化につながり苦労します。鍼灸では、頭の百会の上下左右にある「四神総」というツボに鍼をして気を落ち着けたり、仰向けで首を緩めながら耳後下の乳様突起近くの「安眠」というツボを刺激してリラックスさせ、脳のリセットを促したりします。漢方薬だと「半夏厚朴湯」が有効に作用し、気が楽になることがありますよ。