オリーブ油の摂取と認知症関連死亡との関連はわかっていない。今回、米国・Harvard T.H. Chan School of Public HealthのAnne-Julie Tessier氏らが、9万人超の前向きコホート研究を実施したところ、オリーブ油を1日7g超摂取する人は、まったく/ほとんど摂取しない人と比べて、食事の質によらず認知症関連死亡リスクが3割近く低いことがわかった。また、1日5gのマヨネーズを同量のオリーブ油に置き換えると、認知症関連死亡リスクが14%低下すると推定された。JAMA Network Open誌2024年5月6日号に掲載。
この前向きコホート研究は、NHSの女性とHPFSの男性を対象とし、ベースライン時に心血管疾患もしくはがんではなかった9万2,383人を28年間(1990~2018年)追跡した。オリーブ油摂取量は食物摂取頻度調査票で4年ごとに調査し、「摂取なし/月1回以下」「0g/日超4.5g/日以下」「4.5g/日超7g/日以下」「7g/日超」の4群に分類した。食事の質はAlternative Healthy Eating IndexとMediterranean Diet scoreに基づいた。認知症関連死亡は死亡記録から確認した。多変量Cox比例ハザード回帰を用いて、遺伝的因子・社会人口統計学的因子・生活習慣因子などの交絡因子で調整したハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・参加者9万2,383人のうち女性は6万582人(65.6%)、平均年齢は56.4歳だった。
・28年(218万3,095人年)の追跡期間中、4,751人が認知症関連で死亡した。
・アポリポ蛋白Eε4(APOEε4)対立遺伝子がホモ接合体の人は、認知症関連死亡リスクが5〜9倍高かった。
・オリーブ油の7g/日超摂取は、摂取なし/月1回以下に比べて、認知症関連死亡リスクが28%低く(調整後統合HR:0.72、95%CI:0.64~0.81、傾向のp<0.001)、さらにAPOEε4で調整後も一貫していた。
・食事の質による交互作用は認められなかった。
・代替分析において、5g/日のマヨネーズを同量のオリーブ油に置き換えると認知症関連死亡リスクが14%(95%CI:7~20)低下し、5g/日のマーガリンを同量のオリーブ油に置き換えると8%(同:4~12)低下すると推定された。他の植物油やバターをオリーブ油に置き換えた場合は有意ではなかった。
著者らは「この結果は、心臓の健康だけでなく認知関連の健康のために、オリーブ油や他の植物油を選択する現在の推奨を広げるものだ」としている。